ガンバ大阪は「線」と「点」で結果を残した
ふたつ目は「3」である。ガンバ大阪が史上2チーム目となるJ1リーグ、ナビスコカップ、天皇杯の3冠を達成したのだ。
W杯による中断前は降格圏内の16位に沈んでいた。この時点で首位の浦和レッズとは、勝点14差をつけられていた。しかし、7月中旬の再開後は圧倒的なペースで勝点を積み上げ、残り1試合の段階で首位に立つ。浦和の失速というアシストはあったものの、鮮やかな逆転劇だった。
サンフレッチェ広島とのナビスコカップ決勝は、0対2から試合を引っ繰り返した。0対2となった直後に1点差へ詰め寄り、後半の2ゴールで勝利をつかんだ戦いぶりは、勝負強さを見せつけるものだった。
一発勝負のトーナメントで争われる天皇杯は、波乱含みの大会として知られる。今年もJ1の18チームのうち3チームが2回戦で姿を消し、3回戦では6チームが敗者となった。J1チームの多くが一発勝負の難しさを痛感していくなかで、ガンバは5年ぶりの決勝進出を果たす。
12月13日のファイナルは、J2のモンテディオ山形が相手だった。直前に行われたJ1昇格プレーオフを制し、山形は4シーズンぶりのJ1復帰を決めている。失うもののない挑戦者のメンタリティを、勢いが逞しくする。
決して簡単な相手ではなかったが、ガンバは開始4分の宇佐美貴史(22歳)のゴールで機先を制す。22分には宇佐美のアシストからパトリック(27歳)が追加点を奪い、前半のうちに2点のリードを奪った。
後半17分に1点を返されても、ガンバは慌てない。後半40分に宇佐美がダメ押し弾をあげ、3対1で勝利をつかんだのだった。
J1リーグのベスト11を受賞した宇佐美とパトリックの2トップはもちろん、日本代表に復帰した遠藤保仁(34歳)と今野泰幸(31歳)がチームを支え、移籍1年目のGK東口順昭(28歳)が最後の砦となる。34試合で争うリーグ戦という「線」だけでなく、一発勝負のトーナメントという「点」に置いても、ガンバは他を寄せつけない強さを発揮したのだった。
3度目のJ1昇格を成し遂げた湘南ベルマーレ
「3」の数字が当てはまるチームが、もうひとつある。J2の湘南ベルマーレだ。
就任3年目のチョウ貴裁監督(チョウ・キジェ、45歳)が率いる湘南は、シーズン開幕から驚異的なペースで勝点を積み上げていった。開幕から14連勝で突っ走り、16節からは21戦負けなしの記録を打ち立てた。42試合で黒星はわずかに3つで、勝点は101と3ケタを記録した。通算3度目のJ1昇格を果たしたのである。
責任企業と呼ばれる親会社を持たない湘南は、限られた予算で運営をしている。選手の獲得に充てられる金額には限度があり、J1に昇格しても大型補強は望めない。
だが、彼らには独自のスタイルがある。
攻撃にも守備にも多くの選手が関わるサッカーは、観る者の視線をピッチからはなさない。爆発的なまでの運動量はゲームの終盤も落ちることがなく、ドラマティックな展開を呼び込む。
ハビエル・アギーレ監督が率いる日本代表に、招集されている選手はいない。それでも、中盤で存在感を放つキャプテンの永木亮太(26歳)、リオ五輪出場を目ざすU-21日本代表のディフェンダー遠藤航(21歳)ら、日本代表入りを期待される素材が揃っている。2015年のJ1で注目を集めるチームだ。
>>最後はJリーグ史上初の事件にちなんだ一文字