一軍でプレーしないまま戦力外通告を受ける選手も増加
今オフに125選手が自由契約選手(外国人選手を含む)として公示された。毎年、ほぼ同数の選手が戦力外通告を受ける。トライアウトを受けて合格し他球団へ移籍できたり、コーチやスタッフとしてチームに残ることができる選手はほんのひと握りだ。また、野球解説者というポジションも年々厳しくなっている。かつては年間契約で長期的な収入が得られたが、テレビ中継が減った現在、放送ごとの個別契約で、1回10万円から高くても20万円程度であり、ラジオはさらに低い。しかも、この仕事は知名度のある有名選手に限られてしまう。
上記のような第2の“野球人生”を送れる選手はまだ幸せだろう。そうでない選手は、一般の仕事に“転職”するしかない。景気が良かったころは、球団ファンの会社社長が「野球をやめたらウチで働きなよ」と雇ってくれることもあったが、それも今は昔。2005年に育成選手制度が始まって以降、1度も一軍でプレーしないまま戦力外通告を受ける選手も増えてきているなど、プロ野球選手のセカンドキャリア問題は深刻さを増していたのだ。
一方で明るい兆しも見え始めている。従来、元プロ野球選手が学生野球の指導者になるためには“中学、高校で2年間の教諭経験”というハードルがあったが、これが2013年1月に撤廃され、規定の研修・審査を通過すれば高校野球監督などの資格が得られるようになった。すでに7月から研修が始まっていて、これまでに500人近い参加者がいる。学生野球の指導者として、新たな野球人生を歩むチャンスが徐々に広がっているのだが、それに今回の“イーキャリア”が加わった。
第2の人生をサポートする態勢を今後も増やすことが、野球人口増加につながるは間違いない。