今、話題のゲストハウスの魅力とは?
筆者は「2014年365日365ホテル」として、365日毎日異なるホテルへチェックインし続けるというミッションを遂行しています。高級ホテルからビジネスホテル、カプセルホテルなど「ホテル」と名の付く施設が対象です。ミッションには予算があり、日々お得な宿泊施設を探し続けていますが、「ゲストハウス」という施設も利用することになりました。そこで、今回は旅行、宿泊業界でも話題になっているゲストハウスの魅力に迫ってみたいと思います。
ゲストハウスとは、簡易宿所(または旅館)のカテゴリーです。各自のベッドはあるものの、同一居室を複数人で共用する宿泊施設という点が特徴で「ホステル」とも呼ばれています。低廉な料金でバックパッカーといわれる外国人観光客に人気の施設です。本文ではこうした施設をゲストハウスといいますが、海外ではゲストハウス(The Guesthouse)を「迎賓館」と訳すことがあり、半公的なゲストを迎える施設を指す場合もあることを付言しておきます。
ゲストハウスにも様々な形態がありますが、365ホテル旅では、都内を中心に数軒のゲストハウスを利用したところ、いずれの施設も1部屋に二段ベッドが数台置かれた居室という形態でした。自身の経験でいえば、長距離フェリーの寝台室やブルートレインの寝台車のような雰囲気といえば近いでしょうか。もちろん各自のロッカーはあります。幸運にも(?)、部屋に1人だけの時もありましたが、何台ものベッドが置かれた居室なのでそれはそれで寂しい気分です。
同室になった外国人バックパッカーの男性と会話する機会がありました。ゲストハウスの魅力について質問すると、「ゲスト同士の交流」だといいます。それは想定された答えでしたが、彼は東京だけではなく地方へも旅をしてきたそうで、「日本の伝統文化」「日本の生活」に触れることができることも大きな魅力だと言います。片言の英語での会話でしたが、日本のゲストハウスは海外の同様な施設と比較して、綺麗でサービスも充実しており相当レベルが高いという話もしていました。バックパッカーだけではなく、そのスタイルさえ理解できれば、安く楽しい宿泊をしたいという一般のゲスト向きかも知れません。
たこ焼きパーティーや浴衣試着などのイベントがあるゲストハウスも!
ゲストハウスの専門家である、「ジャパンバックパッカーズリンク」「ゲストハウストゥディ」編集長の向井通浩氏へインタビュー取材したところ、「ゲストハウスを利用するバックパッカー等の旅行者は、用意された一般的な観光を良しとせず、自ら求めて日本人の生活を感じる体験に喜びを感じることも多い」という側面があるとのことでした。筆者の利用したゲストハウスは都心部の施設ばかりでした。規模は大きく、ゲスト同士の交流といった点からはドライな雰囲気もありましたが、向井氏によると、たこ焼きパーティーや浴衣試着、無料デイツアーなど、宿泊客以外の近隣住人参加型のイベントも提供する施設もあるとのことです。国内のゲストハウスは、北海道、関西地方(特に京都府)、沖縄県で特に多く存在します。また、東京の山谷、大阪の西成といった簡易宿所の多いエリアでは、旧来の簡易宿所を外国人旅行者向けにリニューアルする業態変化もみられるといいます。
ゲストハウスでは、キッチン、シャワー、トイレなどは共用ですが、パブリックスペースの充実度は高く、インターネットを利用するためのパソコンから、テレビや電子レンジ、ガイドブックからコミック本などが置かれた「リビングスペース」もありました。リビングスペースのような場所は、人と人との出会いの場がその魅力ともいえるゲストハウスにとって重要な要素となっている印象を受けます。これだけのパブリックスペース充実は、一般のビジネスホテルを凌駕している気さえします。