子どもを立派に育てたい人必見?『4ひきのりっぱなこぐま』
可愛い孫たちを立派なくまに育てようと、『りっぱなくまのすべきことがわかるほん』なる自己啓発書(?)を熱心に読み聞かせるおじいさん。うんうん、気持ちはわかる。わかりますよね? ついつい下心を持って、子どもにしつけ絵本なんかを熱心に読み聞かせてしまう私たち。動物だって想いは同じ。ましてや可愛い孫のためなら、力も入ろうというものです。さて、今日も元気いっぱいの4ひきのこぐまたちは、おじいさんの願いどおり立派なくまになれるのでしょうか?「りっぱなくまのすべきことがわかるほん」を実践したら……
そもそも、立派なくまとはどんなくまなのでしょう? 『りっぱなくまのすべきことがわかるほん』によれば、立派なくまは「よく木に登り よく昼寝をし よく散歩をして よく魚を釣らなければならない」そうです。なるほど、これは確かに私たちがイメージする通りの「立派なくま」ですね。そこで、本を読んでもらったこぐまたちは、そんな立派なくまをめざして努力を始めます。ところが、いざ本に書いてあることを実践してみると、どれも痛かったり、怖かったり、寒かったりでちっとも面白くない。それですっかりやる気をなくしました。困ったおじいさんは自らお手本を見せるのですが、子どもたちはもう全く興味を失って、それぞれ勝手に投げ縄や宙返り、バイオリンなんかに興じています。怒りながらも指導を続けるおじいさんに、とんでもないアクシデントがおこりました。
おじいさんのピンチを救ったのは、もちろん4ひきのこぐまたち。でも、おじいさんを助けるために、本に書いてあったことは1つも役に立ちませんでした。そのかわり投げ縄や宙返りやバイオリンが大いに役立ったのです。
この写真を見る限り、昼寝をするくまが立派かどうかは疑問です……
そして、おじいさんの早とちりは「本の使い方」でした。でも、おじいさんはその間違いに気が付いて、『りっぱなくまのすべきことがわかるほん』を読み聞かせることは2度となかったのです。えっ、その本はどうなったかですって? 今では、おじいさんはいつもその本を椅子がわりにして、こぐまたちが投げ縄や宙返りやバイオリンの練習をするのを楽しそうに眺めているそうですよ。
【書籍DATA】
アーノルド・ローベル:作 こみやゆう:訳
価格:1512円
出版社:好学社
推奨年齢:4歳くらいから
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