餅は温度によって硬さが変わる

餅

餅の場合はその粘着性のため、誤嚥の危険が高くなります

餅は冷えると硬くなる上、くっつきやすさも強くなります。調理後に熱くなった餅でも、口に入れていると体温程度まで温度が下がります。また、冬は室温が低いために、さらに温度の低下が早まります。

つまり、餅は食べる前・食べている時・飲み込む時で硬さやくっつきやすさが変わり、思っていた以上にのどに詰まりやすくなってしまうのです。

餅による窒息事故

窒息事故は、毎年1月の1300~1400件をピークに、次いで12月、2月に多くなっています。食物が原因による窒息事故は、年間で65歳未満が6%前後、65歳以上が40%あまりとなっており、1月の窒息事故では65歳以上の高齢者が約90%を占めています。

なぜ高齢者の事故が多いのか

奥歯がなくなったり入れ歯になると、顎を安定させにくくなり、かむ力と飲み込む力が低下します。食べた物をしっかりとかんで、スムーズに飲み込むことが難しくなるのです。

また、高齢者だけではないのですが、朝は唾液の出が悪いので、のどに餅を詰まらせやすくなります。

餅による窒息事故を防ぐには

餅による窒息事故を防ぐには、以下の3つの点を注意します。

  1. 食事前に会話などをして口の準備運動をしたり、スープなどでのどを潤してから食べましょう
  2. 餅はなるべく小さく切って、口の中で、しっかりとかんで、唾液と十分に混ぜながら食べましょう
  3. 口の中の分をすべて飲み込んでから、次の一口を食べましょう

しかし、しっかりと予防しても、のどに詰まってしまうことがあるかもしれません。以下の応急手当の方法も覚えておきましょう。

窒息の応急手当

この方法は餅に限らず、異物がのどに詰まった時の処置方法です。詰まったまま放置しておくと、息ができずに致死的になりかねませんので、速やかの処置ができるよう覚えておきましょう。

まずは、窒息状態かどうかを判断します。窒息状態ですと声が出ませんので、多くの場合はのどに手を当てて呼吸ができなくなったことを示す動作をします。これを、チョークサインを言います。その場合、「喉が詰まったの?」と尋ね、うなずくようなら窒息と判断します。

咳をすることができれば、できるだけ咳を続けさせましょう。咳をすることで異物をのどから除くことができます。

窒息の場合は、時間との勝負ですから、まずは119番に通報するように誰かに頼みます。「窒息」というキーワードをしっかりと119番に伝えましょう。

■腹部突き上げ法(ふくぶつきあげほう)


  1. 窒息した人を後ろから抱えるように腕を回します
  2. 片手で握り拳を作り、その親指側を窒息者のへそより上で、みぞおちの十分下方に当てます
  3. その手をもう一方の手で包むように握り、すばやく手前上方に向かって圧迫するように突き上げます。

この方法は、妊婦や乳児には行いません。また、腹部を傷める可能性がありますから、実施したことを救急隊に伝えることが大切です。

■背部叩打法(はいぶこうだほう)
背部叩打法

子どもの場合は、抱きかかえて背中を叩きます



  1. 背中を叩きやすいように窒息者の横に回ります
  2. 手の付け根で肩甲骨の間を力強く、何度も連続してたたきます

横になっている人が自力で起き上がれない場合にも行います。

これらの2つの方法は、どちらかが効果が無い場合は、もう一方の方法を行います。

また、「日本医師会-救急蘇生法 気道異物除去手順」にも、図解入りで詳しく記載されています。

掃除機での吸引について

掃除機に吸引して、救命したという話があると思います。基本的には、推奨されていません。上記の2つの方法を試してもダメな場合で、やむを得ない場合と考えてください。

掃除機による吸引がうまくいったという報告もありますが、吸引力などの調節が難しく、舌を巻きこんだり、口の中を傷つけて出血し、より状態が悪くなることもあります。掃除機による吸引をするのであれば、専用のノズルを使用して、のどに入れてからスイッチを入れるなどの操作が必要になります。

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