メルセデス・ベンツ/メルセデス・ベンツの車種情報・試乗レポート

十分現役。リフレッシュしたM・ベンツ190E(3ページ目)

80年代に一世を風靡した小型メルセデスサルーン190Eを、メルセデス・ベンツ日本が300カ所ものパーツを交換しリフレッシュ。懐かしく動かしてみれば、その乗り心地の良さ、機械的な動きの正確さ、そして十二分な街中動力性能に、改めて驚かされた。

西川 淳

執筆者:西川 淳

車ガイド

“長く愛する”派も大切にケアする欧州ブランド

M・ベンツ190E

サスペンションは前がダンパーストラット、後がマルチリンクを採用。タイヤサイズは185/65R15となっている

本当に、シャシーとサスペンションの具合がいい。機械として精緻である。しかも、ドライバーに対する思いやりに満ちている。いまどき、そのあたりのパートは電気信号やコンピューターでやりくりするが、このクルマはそれを信頼に耐えうる機械で行なっている感じがして、運転好きにはたまらない。

特に、真っ直ぐ走っているときの凸凹への対処や、曲がっている最中の自然な車体の傾きなど、乗り手が心地よいと思う動きを、このとき既にメルセデスは機械操作でモノにしていた。ある意味、その模倣から電子制御の歴史が始まったと言えそうだ。

たまに街中で、古いナンバーをつけた190Eに出会うが、きっと彼らは、まだまだ使えるし気に入っているから手放さないのだろう。今のクルマが失いつつある、愛着のわく日常のパートナー・フィールに満ちている。
M・ベンツ190E

エンジンは最高出力115ps/最大トルク17.5kgmを発生する2L直4SOHCを搭載。4ATと5MTが選択できた

メルセデス・ベンツ日本のアフターサービス部が中心となって手がけた、プチ・レストア。交換された部品の8割以上は、日本に在庫されていたものだという(それ以外はもちろん、本国から取り寄せることができた)。要するに、メルセデスあたりともなれば、多少古いモデルであっても、責任をもって対応できるということ。
M・ベンツ190E

2.3Lを積む190E2.3や2.6L直6の190E2.6、ディーゼルの190Dなどをラインナップ。175psの2.3L16バルブを積む190E 2.3-16や、200psの2.5Lを積んだ190E 2.5-16などハイパフォーマンスモデルも用意された

ひとつのモデルに長く乗ってもらうことは、そのメーカーの利益を損なうことであると考えがちだが、欧州の、特にドイツのブランドでは、そういった“長く愛する”派のユーザーも大切にケアすることが当たり前になっている。古いモデルのリフレッシュなどより、新型車への買い替えを促進したいのは山々だろうが、その前に、果たさなければならない責任があるということを、彼らは知っているのだった。
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