歯科インプラント/歯科インプラントでのトラブル・失敗事例

こんなときどうする?インプラントトラブル「出血」編

インプラントトラブルシューティング。第2回はインプラントの出血についてです。歯科インプラントにも天然歯でいう歯周ポケットは存在しており、当然炎症も起こります。出血がどのような原因で起こるのか?また、その対処法はどうしたらいいのか?をしっかり理解しておきたいものです。

梅田 和徳

執筆者:梅田 和徳

歯科医 / 歯科インプラントガイド

歯科インプラント治療は生体に人工物を埋め込み機能回復させていく治療です。長い間使用していくうちに何らかのトラブルが起きることもあります。定期的メインテナンスで発見されることもありますが、日常生活のなかでご自分で「おやっ?」と気づき心配になることもあるでしょう。

そんな時のために、身近に起こり得るインプラントトラブルについて紹介。今回はインプラント周囲から出血が見られる場合を解説します。

インプラント周囲から出血している?原因は?

歯科インプラントは歯槽骨内に埋まっており、オステオインテグレーションという骨結合により、ものすごい力で一体化されています。その上には歯肉があって外界に交通しています。

つまり歯科インプラントにも天然歯でいう歯周ポケットは存在しており、当然炎症も起こります。出血がどのような原因で起こるのか?また、その対処法はどうしたらいいのか?をしっかり理解し、審美的にも機能的にも長期間快適に使用できることが重要です。

付着歯肉と歯周ポケット

歯周ポケットの測定

歯周ポケット測定を定期的に行うことで問題の早期発見早期解決につながる。

歯槽骨の上を覆っている歯肉は、骨に付着している”骨膜”と1番外側にある”上皮”とその中間になる”結合組織”の3層に大まかに分かれています。天然歯もインプラントも上皮の最深部付近までのフリーな部分があり、歯槽骨までの間はシャーピー線維による付着があります。ですので、健康な状態であれば、歯周ポケット測定を行う際にいきなり歯槽骨にあたることはありません。

付着歯肉の幅が広く、底が浅く、炎症が起きずに引き締まっていればポケット計測時の数値は1~2mmと小さくなり、付着歯肉幅が狭く、底が深く、炎症によって歯肉が膨隆することで頂点が高くなれば計測時の数値はどんどん大きくなります。

線維の付着方向の違い

天然歯も歯科インプラントも軟組織だけがくっついている部分があります。ただし、天然歯と歯科インプラントでは付着する軟組織の線維方向が違うのです。

天然歯の場合の付着は線維の方向が横になっているため防御機構が働きやすいですが、歯科インプラントに付着している線維は縦方向のため、いったん炎症が起きてしまった時の進行が速いと言われています。そういうこともあり、天然歯よりも歯科インプラントの定期検診の重要性が高いと言われているのです。

出血の原因

炎症が起きれば出血してきます。歯槽骨吸収まで起きているインプラント周囲炎ではなく、軟組織に限局して起きるインプラント周囲粘膜炎であれば、ブラッシングや抗菌剤である程度の回復は見込めると思います。逆に、出血だけでなく白い膿のようなものが歯周ポケットから排出してきたらこれは大問題です。インプラント周囲に何らかの感染が起こっている可能性があります。

定期検診の重要性

人工物である歯科インプラントを快適に使用するためにも、様々なチェックを行える定期検診はとても重要です。特に出血の場合は、天然歯からなのか、インプラントからなのか、軽度のうちはわかりにくいです。

早期発見早期解決で快適な口腔環境をキープしましょう。

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