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連勝のアギーレJ、しかし監督の“色”はいまだ見えず

ハビエル・アギーレ監督率いる日本代表が、テストマッチで連勝を飾った。11月14日にホンジュラスを、同18日にはオーストラリアを下したのである。ベテランを復帰させた狙いが好結果を呼び込んだが、果たしてチームはレベルアップしているのだろうか。

戸塚 啓

執筆者:戸塚 啓

日本代表・Jリーグガイド

アギーレ監督が見せた柔軟性

ホンジュラス、オーストラリアに連勝したアギーレジャパン。

ホンジュラス、オーストラリアに連勝したアギーレジャパン。

11月14日に行われたホンジュラス戦で、日本は6対0の大勝を飾った。

ホンジュラスは先のブラジルW杯に出場しているが、フランス、スイス、エクアドルとのグループステージは3戦全敗に終わった。ヨーロッパのクラブでプレーする選手は少数派で、W杯後に監督も交代している。ホームゲームということを考えても、当然の勝利である。

むしろ注目を集めたのは、11月18日のオーストラリア戦だった。

来年1月のアジアカップを開催するオーストラリアは、試合の1週間前から日本国内でトレーニングを積んでいた。長距離移動による疲労や時差の影響はない。日本のホームゲームだが、コンディションのアドバンテージはなかった。ハビエル・アギーレ監督(55歳)率いるチームの現在地をはかるには、格好の舞台だった。


機能したとは言い難いアギーレの4-3-3

前日本代表監督のアルベルト・ザッケローニは、4-2-3-1のシステムを好んだ。ブラジルW杯後に指揮権を託されたアギーレ監督は、ホンジュラス戦を含めた過去5試合を4-3-3のシステムで戦った。結果は2勝2分1敗の五分だが、新たなシステムが機能しているとは言いがたい。大量6ゴールを奪ったホンジュラス戦にしても、システムを問われる以前に実力差が歴然としていた。

オーストラリア戦の序盤は押し込まれた。4-3-3のシステムは、中盤を逆三角形で構成する。4-2-3-1では最終ラインの前に2人の選手が並ぶが、4-3-3ではひとりになる。アンカーと呼ばれるそのポジションに入った長谷部誠(30歳、フランクフルト/ドイツ)の両脇を相手に使われ、長谷部よりひとつ高い位置にいるはずの香川真司(25歳、ドルトムント/ドイツ)と遠藤保仁(34歳、ガンバ大阪)も、攻撃より守備に追われてしまう。


4-2-3-1への回帰で勝利をつかむ

前半35分だった。アギーレは4-2-3-1へシステムを変更する。長谷部と遠藤が横並びとなり、香川がポジションをあげる。最前線の岡崎慎司(28歳、マインツ/ドイツ)をフォローするように、右から本田圭佑(28歳、ACミラン/イタリア)、香川、武藤嘉紀(22歳、FC東京)が2列目に並ぶ。ザッケローニ前監督のもとで慣れ親しんだシステムが採用されたのだ。

前回のコラムで指摘した選手と戦術の符合がはかられたことで、日本代表の攻撃が機能する。ボールの動きがスムーズになり、相手ゴールへ迫るシーンが増えていく。61分に途中出場の今野泰幸(31歳、ガンバ大阪)、68分には岡崎がゴールを記録し、オーストラリアの反撃を1点に抑える。2対1で勝利をつかんだのだった。

試合後のアギーレ監督は、「ゲームプランはあらゆる視点から組み立てることができる。そしてゲームプランを組み立てるために、クレバーで複数のポジションができる選手を選んでいる」と話し、「ベテランが勝つ、若手が勝つというのではなく、日本代表というひとつのチームとして全員で勝った試合だと思う」と続けた。2014年最後のゲームを勝利で締めくくり、指揮官は満足げな表情を浮かべていた。

>>しかし、アギーレJは本当に成長したのだろうか?

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