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「単なる新型車ではない」 トヨタFCV「MIRAI」とは?(2ページ目)

世界初の市販FCVとしてトヨタが12月15日から発売する「MIRAI」は、同社の約20年になる燃料電池車開発のひとつの成果だ。採算割れも想像できる「MIRAI」を世界で初めて投入する意図とは何だろうか?

塚田 勝弘

執筆者:塚田 勝弘

車ガイド

FCV(燃料電池車)「MIRAI」の特徴とは?

トヨタ・MIRAI

航続可能距離はJC08モード走行で約650km。水素の充填は3分程度だという


自社開発のトヨタFCスタックや高圧水素タンクなどから構成されるトヨタFCVは「トヨタフューエルセルシステム(TFCS)」と命名され、第一弾の「MIRAI」は4人乗りのセダンタイプで、日本はもちろん、世界中で同じ車名になる。

水素の充填時間は、水素充填圧や外気温により異なるそうだが、SAE規格(外気温20℃、高圧水素タンク内の圧力10MPaからの充填)の標準条件だと3分程度で約650km(JC08モード走行パターン)の航続が可能だそうだ。

なお、水素の充填作業はセルフ式のガソリンスタンドのようにオーナー自らはできず、水素ステーション側(スタッフ)が行う。水素の燃料費は、岩谷産業が1100円/kg(税抜き)とすでに発表していて、ハイブリッド車と同等レベルになるそう。

なお、経済産業省のロードマップによると、2015年頃には「ガソリン車の燃料代と同等以下の水素価格の実現」、2020年頃には「ハイブリッド車の燃料代と同等以下の水素価格の実現」を掲げている。

「MIRAI」で長距離走行は可能か?

トヨタ・MIRAI

100か所程度の水素ステーション整備を掲げている経済産業省だが、「ロードマップ」よりは少し遅れているようで、当面は40か所程度


実際の走行でどれくらい航続可能距離が伸びるかどうか分からないが、JC08モードである約650kmの8割で約520km、7割で約455km。

水素ステーションは当面の間、4大都市圏(首都圏、中京、関西、北部九州)に集中する見込みだから、東京から名古屋、名古屋から大阪には行けるが、大阪から博多までは難しい距離で、東京からだと東北方面や北陸方面の長距離走行は厳しい状態だ。

とはいえ、一般ユーザーが1泊2日のドライブを含めて普通に走る分には不足はないというところで、EVのように「電欠」の心配や航続距離の短さを指摘する声はあまり上がらないのではないか。

トヨタ・MIRAI

良くも悪くもトヨタらしいインパネで、アグレッシブでスポーティさを謳う外観と比べると、未来感はあるが驚きは少ない


駆動用モーターの最高出力は154ps、最大トルクは335Nmで、EV同様にアクセルを踏み込んだ瞬間からすぐにトルクが立ち上がり、実用域では何ら不足のない加速フィールを得られることはスペックからも十分にうかがえる。

また、「エコなだけで退屈ではだめで、ワクワク、ドキドキできるエコカーを」と、豊田社長(前日公開された動画)や加藤副社長が強調していただけに、低重心でハンドリングもよく、さらに圧倒的な静粛性で新しいクルマの姿を具現化しているという。

次ページは、MIRAI投入のワケと狙いについて
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