1960年代から70年代にかけて、世界的に「動く立体作品」が増えていきました。美術用語で「キネティック・アート」と呼ばれています。キネティック・アートは、風力で動くものもあれば、電力で動くものもあります。

タムラサトル《愛マシーン》2013年undefined鉄、チェーン、ベアリング、シャフト、モーター、他undefinedH2500×W2050×D1350

タムラサトル《愛マシーン》2013年 鉄、チェーン、ベアリング、シャフト、モーター、他 H2500×W2050×D1350



今回紹介するタムラサトルさんの作品は、このキネティック・アートの流れを組みながら、「現代」を表現しています。


作品が大きいから搬入も大変です

作品の設置をするタムラサトルさん

作品の設置をするタムラサトルさん


 
ここは京都駅ビルの通路スペース。タムラさんは10月に行われた「京都国際映画祭」の関連イベントとして、自身のアート作品を展示することになりました。手伝いの人と一緒にタムラさんは作品のパーツを運んでいます。

「僕の作品はいくつかシリーズがありますが、このマシーンのシリーズはサイズが大きく、回転するチェーンなどパーツの種類も多いので、数人で組み立てていくのです」。

それぞれのパーツはアトリエでつくっています。同じ場所ではなくいろいろな場所でこの作品を見せることが多いので、バラバラだったパーツは、ぱぱぱっとひとつの作品になっていきました。


なぜ作品をつくるのか

学生時代に制作した《スピンクロコダイル》シリーズ(2014年栃木県立美術館個展での展示風景)

学生時代に制作した《スピンクロコダイル》シリーズ(2014年栃木県立美術館個展での展示風景)


 
タムラさんは大学で美術を学ぶなかで、「電気をつかった芸術装置」という課題で右にある《スピンクロコダイル》を制作しました。

「課題のプランを出す朝、起きてまず頭に浮かんで来たイメージを作品にしよう、と決めました。そして当日、『ワニがぐるぐる回転する』というイメージが浮かんだのです。想像した通りにつくったら、自分ですごい作品ができた、という確信を得たのです」。

それまで電気を扱うことも、電気をつかった装置をつくったこともなかったタムラさん。課題なので、仕方なくいやいやつくったのが、緑色のワニでした。完成した作品を見たタムラさんは「アーティストになろう」と決めたほど自信を感じたそうです。結果、回転の向きが異なる黄色などの色違いのワニの作品を6種類ほどつくり続けました。