カロテノイドを摂取する時のポイント
β-カロテンは、体内で分解されるとビタミンAに変わる、ということを聞いたことがあると思います。ビタミンA は欠乏すると夜盲症、粘膜異常などを起こすとされていますが、摂取しすぎても過剰症が出ます(「日本人の食事摂取基準」で成人男性のビタミンA推奨量は800~850 μgRE/日、成人女性では650~700μgRE/日、上限量は2,700μgRE/日)。カロテノイドの場合は、多量に摂っても必要に応じてビタミンAにかわるため、ビタミンA過剰症は見られないと考えられています。β-クリプトキサンチンも、β-カロテン同様にプロビタミンAに変わりますが、ゼアキサンチンやルテイン、リコピンには体内でプロビタミンAに変わりませんので、覚えておきましょう。
またカロテノイドは、生のままでは吸収率は低いのですが、加熱調理をする、特に油脂類と合わせると吸収率は高くなると考えられています。
カロテノイドは私たちの体内で合成されないため、ここでご紹介した野菜や果物などを上手に活用するとよいでしょう。
食品に過度な期待はせずに、バランスも心がけて
ただし、こうした研究報告には、試験管レベルや動物実験などもあり、ヒトでの生理機能や、その有効性についてはまだまだ不明な点も多くあります。特にサプリメント等特定成分を濃縮したものについての有効性や安全性などについても明確ではない部分があります。米国で高用量のβ-カロテン摂取は、喫煙者で肺がんリスクが増加するという報告などがあり、過剰摂取に注意が促されています。個人の体質や生活習慣などの条件と摂取量等について、まだまだ知見を集めなければならないということです。
また、有効成分を含む野菜や果物の摂取は安全であっても、有効成分はわずかしか摂取できません。かといって偏った食べ方はよくありませんし、食品としてどれくらいの量を食べれば有効性があるかどうかも明確ではない部分がほとんどです。栄養成分は、お互いに助け合って働きますから、多様な食品からバランスのとれた栄養摂取を心がけた上で、こうした食品を上手に組み合わせていきましょう。
以前の記事「2015年から野菜の"機能性"表示ができるようになる?」でご紹介したように、食品の新たな機能性表示制度が始まると、一定の基準をクリアすれば、企業の責任において、これまでは認められていなかった健康食品や加工品、農林水産物なども機能性を表示できるようになります。
薬と食品は含まれる成分内容も効果も異なります。なんとなく身体によさそうだから、というイメージや、誇大な表示に惑わされずに選択できるように、私たち消費者もきちんとルールを知り、成分についても勉強しておきたいものです。
参考/
・カロテノイド(農研機構研究所)
・カロテノイド.info
・総説 カロテノイドの多様な生理作用 (食品・臨床栄養, 2, *-*, 2007)
・参考資料5 平成20年度新たな健康の維持増進に関わる食品成分等に対するニーズ調査 (文部科学省)
・健康食品の安全性・有効性情報
・JACC Study
・富士フィルム ヘルスケア研究所
・カゴメ株式会社
・ユニチカ株式会社
その他