4700名が来場した切手収集の祭典「第49回全国切手展」
前回の記事では、切手の博物館をご紹介しました。今回は2014年10月31日から11月2日にかけて開催された切手フェスティバル「第49回全国切手展」(JAPEX2014)についてクローズアップしてお伝えしていきます。ここでは、まず切手展の展示作品について細かな説明を行い、主に「切手を見る楽しみ」についてご紹介いたします。次ページではこれから切手収集を始める方や始めたばかりの方向けに、「切手を買う楽しみ」と「切手を知る楽しみ」について紹介していきますので、それぞれご参考にしていただければと思います。
そもそも全国切手展とは?
全国切手展は、公益財団法人日本郵趣協会が主催する切手フェスティバルです。一口に切手収集といっても、切手を見る楽しみ、切手を買う楽しみ、切手を知る楽しみ、そして手紙を出す楽しみなど、様々なものがありますが、すべてをあますところなく網羅した「切手の祭典」といえるでしょう。全国切手展はいつから始まったの?
全国切手展は1966年に第1回が行われました。以来、毎年中断することなく行われ、現在では日本最大規模の切手イベントにまで発展しました。第1回全国切手展の開催に先立って、日本郵趣協会は1966年にアメリカのワシントンDCで開催された切手展を視察し、モデルとしたそうです。今から約半世紀前のことであり、まだ海外旅行が自由化されてまもない頃のこと。視察には大変な苦労があったようですが、創成期の主催者の心意気を感じさせるエピソードです。切手展で【切手を見る】楽しみ
「切手展」という名の通り、切手展の主役は展示作品です。全国切手展には、日本各地の収集家が様々な展示作品(切手コレクション)が集まりますので、パンフレット中の出品目録に沿って鑑賞していくことができます。それぞれのコレクションはリーフに整理され、16枚のリーフごとに1つのフレームに収められていきます。展示作品は、日本切手・外国切手・郵便史・テーマティクなどのコレクションのジャンル(部門)別に並べられています。展示作品の点数はどうやってつけるの?
競争出品の場合、コレクションは審査員によって主題や構成、知識と研究、切手の状態と稀少性、展示技術の4つの観点から評価され、点数化(満点100点)されます。ジャンル(部門)ごとに採点基準は異なりますが、伝統郵趣(切手自体を主題とした展示)の場合は、主題や構成(30)、知識と研究(35)、切手の状態と稀少性(30)、展示技術(5)の配点です。注目したいのは、切手の状態と稀少性は最大30点しか持ち点がないということです。100点満点のうち、金銭である程度解決できる部分は3割であり、あとの7割分は切手への情熱、見識といった収集家の努力や実力の部分で評価されます。
メダルはどのように決まるの?
メダルは点数のグレード別になっていて、大金賞(90点以上)・金賞(85-89点)・大金銀賞(80-84点)・金銀賞(75-79点)・大銀賞(70-74点)・銀賞(65-69点)・銀銅賞(60-64点)・銅賞(55-59点)・佳作(50-54点)が決まります。点数は相対評価ではなく、絶対評価で付けられるので、必ずしもその年の最高得点の作品が大金賞になるというわけではありません。
国際切手展への登竜門!
金銀賞以上のメダルを獲得すると、国際切手展への応募資格が与えられます。第49回全国切手展では一般競争出品の88作品中、大金賞が2作品、金賞5作品、大金銀賞11作品、金銀賞15作品が出ました。出品作品の37.5%が国際切手展出品資格のラインに到達したことになります。審査員との対話
最終日の早朝には、審査員と出品者の対話の場(一般参観者には非公開)があります。1人数分程度の短い時間ですが、なぜこの点数なのか、今後のコレクションの発展させるためにはどうすればよいかなど、具体的なアドバイスが受けられます。「そもそも趣味の世界に評価だなんて……」と思う方もいるかもしれませんが、切手展の得点基準を追うことで、おのずとコレクションの質や深さ、バランスなどが向上していく部分があります。これは切手展の最大の効用といっても良いでしょう。
ここまで少し込み入った話題が続きましたが、次のページでは、これから切手収集を始められる方、始めたばかりの方向けの楽しみ方についてご紹介したいと思います。