世界の名作椅子を1/6のサイズで再現するミニチュア椅子
初回、ミニ名作椅子を創る【Elbow Chair エルボーチェア 】1では、椅子の紹介をしました。家具デザインを生業にしている僕にとってミニチュアは切りはなせない代物。長年ご紹介してきたファニチャーサイトでも実物の椅子とあわせ、ミニチュア椅子の存在と魅力をお伝えしてきました。
きっと家具好き椅子好きの諸君の中にもミニチュア椅子を楽しんでいる方がいらっしゃることと思いますが、存在は知っていても実際にどんな方法で製作するのか?・・・興味津々の方もおおくいらっしゃると思います。
さて、このミニチュア椅子、結構奥が深い。実際に作るのも生半可では出来ません。なかなか手間のかかる作業ですが、それだけに椅子の特性や素晴らしさもわかるし、当のデザイナーはココに苦労してデザインしたんだなぁ・・と改めて気づくことが多々あります。
実際にファニチャーデザインをする時は、まずはミニチュアを作成し、検証しながら実物を製作する、そんな過程を繰り返し繰り返してデザインを進めます。
そんなミニチュア椅子のことを知っていてだく為に実際の製作をご紹介するシリーズ、「石川 尚のデザインワークショップ【ミニチュア名作椅子を創る】」・・・世界の名作椅子を1/6のサイズで再現する。オリジナルのマテリアル(素材)や製法技術を忠実に再現するハンドメイドワークショップです。
三面図と部品図制作からとりかかる
第一作目の椅子【 Elbow Chair エルボーチェア 】は、前回ご紹介した通りデンマークの家具デザイナー:ハンス・ヴェグナーのデザイン。多くの名作椅子を世に送り出したヴェグナーが1956年にデザインし、2005年に製品化された椅子、とにかく、美しく造りが素晴らしい椅子です。では、椅子製作販売メーカー:カール・ハンセン&サン/Carl Hansen & Son社、正式名「CH20 エルボーチェア」のミニチュア製作を始めます。
まず、製作する為に必要なものは、「図面」です。今はGoogleなどパソコンで検索すれば、ほとんどの情報がえられますが、欲する椅子の図面が得られない場合は、自分で作成します。作成するには実物の椅子を採寸するわけですが、曲面や傾斜をしている部位などあって結構手間のかかる作業です。
最初に原寸図面(1/1の実物サイズ)を描き、その後縮尺した図面を作成します。
通常ミニチュア椅子の縮尺は、1/5、1/10が多いですが、ミニチュア椅子の商品化で有名なヴィトラミュージアムのミニチュア椅子は全て1/6ですのでそれにならって1/6縮尺サイズで図面作成を進めます。
図面は、正面図、側面図、平面図という3方向から見た図、つまり「三面図」と、各々の部品事に描いた「部品図」を作成します。
三面図は、椅子のプロポーションを確認する為に、部品図は、椅子を構成する部品と部品の細部(部品のカタチや部品と部品の継ぎ手部分など)を確認するためのものです。また各々の図面を切抜き、部品製作や組立する場合のガイドとして使用します。