賃貸派が増え、持ち家派は減少傾向
平成26年版土地白書によれば、近年、賃貸派が増え、持ち家派は減少傾向にあるそうです。土地白書とは土地基本法に基づき政府が国会に報告している年次報告で、「土地に関する動向」と「土地に関する基本的施策」で構成されており、賃貸住宅経営に役立つ情報が数多く記載されています。
この中で、自宅について持ち家志向か借家志向かという質問への回答結果が記載されていますが、「土地・建物については、両方とも所有したい」という持ち家派は、昨年12年ぶりに80%を切っていました。今年は更にその数値を77.0%まで下げており、持ち家志向の減少傾向が浮き彫りになりました。
一方で、「借家(賃貸住宅)で構わない」と回答した賃貸派の割合は高まっており、平成25年度は過去最高の15.8%に達しています。また、地方圏では14.8%であったの対し、地価の高い大都市圏では17.3%と更に高い値となっており、東京のオーナーさんにとっては追い風となる結果となりました。
持ち家志向か借家志向か
土地の評価は収益性や利便性で決まる傾向
全国の住宅着工戸数については、平成25年はアベノミクスによる景況感の改善や、消費税増税に伴う駆け込み需要の影響により、持ち家、貸家、分譲住宅の全てで着工数が大きく増加しています。首都圏においては特に貸家の着工数の増加が顕著であり、対前年比で+14.5%と大きく上昇しています。住宅の着工数の増加は、土地に対する需要が上昇していると言い換えることが出来、地価動向についても、収益性や利便性の高い地域を中心に鮮明な回復傾向が現れています。
なお、「土地の評価が収益性や利便性で決まる傾向について」の回答では、「非常に好ましい」と「まあ好ましい」とを合わせた肯定的な回答が、過半数の57.9%を占めており、近年、肯定的な意見が増加傾向にあります。
この結果を考慮すれば、今後、収益性、利便性を重視した土地需要の傾向は更に強まっていくと考えられ、それに応じて地価も上昇していく可能性があります。地価が上昇すれば、住宅の取得は金銭的に更に困難なものとなり、そのような地域においては賃貸住宅の需要は更に高まることになるでしょう。
土地活用の必要性
土地というものは、所有しているだけでは意味がなく、それを活用することに意味があります。特に、近年の土地の需要の高まりや、賃貸派の増加を考慮すれば、土地を有効活用することは、地主さんの社会的な責務と言っても過言ではありません。また、土地を活用しアパート経営をしていたとしても、メンテナンスを怠った老朽化物件では不十分であり、オーナーさんにとっても収益面で満足なものとはなりません。土地を活用した上で、適切な賃貸経営をすることが大切なのです。