「fz1 fazer」を通勤使用してわかった難点と魅力とは?
ヤマハのフラッグシップ スーパースポーツモデルと言えば、YZF-R1です。ここ何ヶ月間ヤマハの車両を中心に試乗インプレッションをお届けしてきました。ヤマハの色々な車両に乗った後にヤマハが誇るフラッグシップマシン YZF-R1をお借りしてインプレッション記事を書こうと決めていました。
ところがヤマハの広報部に連絡してみたところ現在の広報車両は2013年型の車両で販売も終了してしまっているとの事。
中古以外に購入することが出来ない車両のインプレッションは微妙です。そこでスーパースポーツYZF-R1のエンジンを市街地でも扱いやすいようにチューンしたエンジンを搭載したFZ1 FAZERをお借りすることにしました。
YZF-R1の新型モデルは発表になりましたが、残念ながら国内仕様は発売されていません。(2016年11月現在)
スーパースポーツモデルYZF-R1の技術を受け継ぎつつストリートファイター車両として仕上げられたFZ1 FAZER。
今回もきっちりと一週間、実際に通勤で使用してインプレッションをお届けします。
<目次>
「fz1 fazer」で都内通勤して見つけた! 2つの難点
この後に詳しく運動性能などに関しては触れさせていただきますが通勤で一週間使用した感想として排気量が1000ccもあるマシンなのに非常に扱いやすく快適そのもの。
しかし都内の通勤で毎日乗っていて気になるポイントが二つ。
まず一点目が足つき性。FZ1 FAZERはジャンルとしては最近流行のストリート系車両にハーフカウルを纏った亜種と言えますが他のストリートファイター系車両同様にシート高は高めです。
例えばカワサキのニンジャ1000が815mm、スズキのGSX-S1000が810mmとネイキッド系車両と比べると若干高めなのと同様にヤマハのFZ1 FAZERは815mmです。
シート高はストップ&ゴーの多い都内では私のように身長の低いライダーにとっては、気になるポイントの一つです。ただしシートが絞り込まれているので数値よりは低く感じるかもしれません。
もう一点はアクセルの重さです。最近試乗したバイクだと同じくヤマハのXJR1300やホンダのCB650Fに試乗した際にも感じた事なのですがアクセルの開け始めが若干重く感じます。
都内では前述したようにストップ&ゴーが多い為、アクセルの開け閉めが多く慣れるまではアクセルの重さが煩わしく感じることが多いかもしれません。
「fz1 fazer」の魅力...運動性にあり!
FZ1 FAZERのライバル車両としては前述したカワサキのZ1000かスズキのGSX-S1000と言えるでしょう。価格で見てみればZ1000が119万8800円、GSX-S1000が111万5640円、そしてFZ1 FAZERは108万円。ライバルと比べると若干割安です。また車体を横から見ると際立って目立つのがリアのスイングアームの長さです。リアのアームの長さが629mmと非常に長く他の車両と比べてみるとFZ1 FAZERのスイングアームが圧倒的に長い事に気づきます。
これだけスイングアームが長いとコーナリング時に癖が出てくるかな?と思ったのですが違和感は特に感じません。
ホンダのCB1300SFや前回お借りしたFJR1300はコーナリング時の感覚として、曲がりたい方向を向くと、マシンが勝手に曲がっていくような感覚がありますが、FZ1 FAZERは腰で曲がりたい方に体重をかけるとすっと曲がっていくような感覚です。
どうしても前に乗っていたバイクの感覚で運転してしまうので今回の場合はFZ1 FAZERをお借りする前に借りていたFJR1300の感覚で走行してしまい一個目のコーナーで思ったほど車体が倒れず思わずリアブレーキで調整しました。
しかし1日、2日乗ってみると、慣れて軽量な車体の効果もあり、軽快にコーナーを旋回していくことが出来ました。エンジンはYZF-R1をベースに町乗りで主に使う低中速を強化したエンジンということですが、5000rpm/hを境に圧倒的に加速します。
逆に5000rpm/h以下の回転域を使って運転していると扱いやすく、かと言ってパワー不足も感じない為、通勤ではストレスを全く感じませんでした。
エンジンの発熱量はそこそこですが、気温が20度前後のこの時期にストップ&ゴーの多い都内で使用していると、長時間信号待ちで停車した際に少し暖かく感じるかな?というぐらいでした。これが真夏だと結構しんどいかもしれません。
ツーリングやスポーツ走行も! マルチな性能「fz1 fazer」
近年ではストリートファイター系車両が流行となっています。Z1000やGSX-S1000もそれぞれ個性的なバイクですが、FZ1 FAZERもまた違った個性を持っています。今でこそストリートファイター系というジャンルが確立されていますが、FZ1 FAZERがリリースされた当時、私の感覚としてはネイキッドバイクにハーフカウルがついたCB1300SBやバンディット1250Fと同列のバイクといった印象でした。
しかしネイキッドバイクと比べれば軽量に仕上げられエンジンは高回転型。シート高も高めなので昨今のストリート系車両の特徴を捉えています。
ただ生粋のストリートファイター系車両のZ1000やGSX-S1000とは何かが違う。FZ1 FAZERはストリート系車両の特徴を持ちながらXJR1300やCB1300などのビッグネイキッドを感じさせるポイントもあるのです。
試乗して見ればツーリング、スポーツ走行、通勤とマルチに使うことができて少し回せばスーパースポーツのような加速を見せるFZ1 FAZER。もしあなたがこの車両に魅力を感じるのであれば、他に選択肢はないかもしれません。
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