切手の博物館の歴史
切手の博物館は1988年に、世界的に著名な切手収集家である水原明窓氏が中心となって設立準備を行い、1989年12月に東京・新宿に仮オープン。氏の死去後3年を経った1996年4月8日に現在の場所に開館しました。博物館の2階には生前の書斎がそのまま再現されています。水原明窓氏は日本切手や外国切手カタログの発行、現在国内で最大の切手イベントにまで発展した「第1回全国切手展」の開催(1966年)や若手収集家の育成など、切手収集の普及と発展に尽力しました。また中国切手や韓国切手の専門家として、中国切手コレクションをまとめた『華郵集錦』など多くの著作があり、1993年刊行の『朝鮮近代郵便史』が絶筆となっています。
切手の博物館の図書室
切手の博物館の2階には、約1万冊の蔵書を誇る図書室も設置されています。閉架図書を利用するときは入館料に加えて、1日1000円の利用料がかかります。切手の専門文献の中には200部~500部程度しか印刷されないものが多く、公共図書館では閲覧できないものも多いため、こうした民間の図書館を利用することになります。また年額の会費を納めて博物館メンバーになれば、入館料はもちろん閉架図書の利用も無料になるので、よく利用する方は検討してもよいでしょう。図書コーナーの横や館内のミュージアムショップには、切手カタログや小学生・中学生向けパンフレット・各種入門書などを扱う販売コーナーもありますので、ぜひ手にとっていただきたいと思います。
見逃せない特別企画
切手の博物館に訪問した方が見逃しがちなのが、3階のスペースです。3階のスペースでも様々なイベントが行われていて、専門収集家たちによるコレクションの発表会が概ね週替わりで催されていることもあります。夏休み期間などには、地域の教育委員会と提携して手紙に親しんだり、実際に切手に触れるためのワークショップが開催されていたりすることもあります。ただし切手のオークション会場として使用されている場合もあるので、私は事前にイベントスケジュールなどで確認してから出かけるようにしています。
ここまで、切手の博物館の楽しみについて見てきましたが、次回の記事では日本最大の切手イベント「第49回全国切手展」(東京・浜松町にて2014年10月31日~11月2日開催)についてお伝えします。すでに述べたとおり、切手の博物館を設立した水原明窓氏が中心となって第1回を開催してまもなく半世紀を迎えようとしていますので、その歩みとともにお伝えしたいと思います。