アート・美術展/アートの楽しみ方入門

「うまい作品」ってなに?アートを理解、想像する意味

「うまい絵ですね」「いい彫刻ですね」と言う美術作品は、何を基準にしているのでしょう。たとえば人を描いた絵なら、その人そっくりに描けていたら「いい」のでしょうか?だったら写真で事足りるハズでは?

藤田 千彩

執筆者:藤田 千彩

アートガイド

皆さんが美術館やギャラリーで作品を見て、「いい作品だなあ」と思うものは、どういう作品でしょうか?人や風景がリアルに表現されていたら、「いい作品」と思うのでしょうか?

リアルな絵を描く手法の裏側

まずは輪郭を描きます

まずは輪郭を描きます


 
アーティストの藤部恭代さんは、女性の肖像画を描いています。ただ女性の顔を描くのではありません。

まずキャンバスにカラフルな色を塗り、その上に網目模様を入れてから顔を描いて行く。つまり「顔の下に網目がある」という見せ方をするユニークな肖像画作品です。

といっても目に入る女性の顔は、きれいで美しい女性の顔。どうやったら上手に描けるのでしょうか?

描くとき陰影をはっきりすると「うまい絵」に見えるそうです

描くとき陰影をはっきりすると「うまい絵」に見えるそうです

「絵を描くにあたり、デッサンやクロッキーは基本です。そう いった練習のような行為は毎日行っています」(藤部さん)。

形をとらえることを手で覚えていくことで、顔の輪郭や目・鼻のバランスも把握できるようになります。陰影をはっきりさせたり、色を重ねていったり、細かく手を加えていくと、よりリアルな人の顔が表れます。

「でも私は、写実的に描こうとしてません。そんなことには興味がないのです」(藤部さん)。

アーティストの考え方「コンセプト」を知る

完成した作品undefined藤部恭代《ARABESQUE》undefined2014、oil,acrylic,canvas,530×530mm

完成した作品 藤部恭代《ARABESQUE》 2014、oil,acrylic,canvas,530×530mm


 

「私の描く女性は、具体的な●●さんを描いているわけでも、かわいらしいキャラクターにするのでもありません。私の理想像を追いながら、ヘアスタイルやメイク、表情など、時代に応じた女性を描こうとしています」(藤部さん)。

つまり藤部さんのコンセプトは「いまの時代の女性」。そうやって作品を見ると、「上手い絵」という言い方は表面的に感じられて、描かれた女性の内面をのぞき込みたくなります。
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