株式は好調も、債券振るわず…
主として米国資産に投資する投資信託について、過去1年間の騰落率を算出したところ、「ベスト」の上位10位までを独占したのは全て為替ヘッジの付いていない、株式に投資するタイプのファンドでした。中でも、アップル、マイクロソフト、ギリアド・サイエンシズなど、ナスダック上場銘柄を組み入れたファンドの成績が好調でした。他方、「ワースト」は、ハイイールド債券(格付会社によって付与された信用格付けが低い分、利回りの高い社債)に投資を行うファンドのランクインが目立ちました。ただし、いずれのファンドも、成績が急落したというよりは、後述する米国の金融政策の行方をにらみ、相対的に振るわなかったと表現した方が正しいでしょう。
金融政策の動向は要フォロー
米ドル建て資産を組み入れた投資信託では、投資対象資産の価値が増加し、さらに円安/ドル高が進めば、投信自体の基準価額は上昇します。最近は、消費増税の影響が残る日本と米国との景況感の違いや、金融政策スタンスの違いによって円安/ドル高が進んだため、全体的に、米ドル建て資産に投資する投資信託にとっては心地よい環境が続いてきました。為替の面では円安進行が追い風となりましたが、肝心の投資対象資産は、米国の中央銀行であるFRB(米連邦準備制度理事会)の利上げの時期に振り回されているような状況です。一般的に、利上げが行われると長期金利は上昇します。この結果、ハイイールド債券やリートについては、長期金利との利回り格差が縮小し、「高利回り」の魅力が薄れることとなります。こうした背景もあり、ハイイールド債券は、運用成績の低下とともにファンドそのものの人気も一時期と比べると落ち着いています。