豊洲のタワーマンションが林立するアーバンドック裏に、都会のエアポケット的癒しカフェ「CAFE;HAUS(カフェハウス)」が誕生しました。大和ハウス工業が企画段階から注力した「豊洲2丁目プロジェクト」の一つ。再開発が進む豊洲の造船工場跡地の一部を定期借地し、地域とつながりながら住まいと暮らしを提案する新しいカフェスタイルを提案したものです。
複数企業でライフスタイルを提案する新システム
タワーマンションの建ち並ぶエリアだけに目立つ平屋のガラス貼りカフェ
注目されるのは、大和ハウスだけでなく、複数の住宅関連企業や異業種産業が参画する「パートナーコーディネートシステム」を採用しているところ。通算、3年がかりの計画だったそうですが、その間さまざまな議論が行われたとか。最初は多くの住宅企業が考えるように、住宅展示場を考えたり、カフェチェーンを誘致することも考えたそうですが、「せっかくこの恵まれた立地を活用するなら、この地域に足りないもの、今の住宅展示場に足りないものを提案・発信していこう」ということで、そのコンセプトに賛同した複数の企業によるシステムが実現したそうです。
地域に足りないもの。今の展示場に足りないもの。カフェプロデュースを手掛けた「入川スタイル&ホールディング」の入川社長は、こう言います。
協力サプライヤーなど多くの関係者が集まった記者発表会
「海に面してタワーマンションの建ち並ぶ豊洲エリアは先進的なイメージがある一方で、ともすると機械的無機質なイメージも強く、もっと地域や人の触れ合いとつながりが欲しいと思った。そこで、地域の寄り合い集会所的な拠点として、住まいをテーマにしたライフスタイルやソフト提案していこうということになりました」
コンセプトは「Style(一生向き合っていける自分らしさ)ある日常生活」。カフェを通して地域や文化、住民、情報が集まる「地域コニュニティHUB」をめざしたと言います。
日常的にカフェを利用しながら住まいを考える場に
原宿キャットストリートなどカフェで街を再生する実績をもつ入川社長は、「カフェは単にコーヒーを飲む飲食拠点ではなく、フランスのカフェがそうであるように文化と情報の発信拠点であるはず。カフェが景観をつくり、ライフスタイル産業を提案できる、そんな街のオアシス空間(サードプレイス)をつくりかたった」と想いを語ります。
海風が通り抜けるような開放感のある明るいカフェスペース。住宅資材だけでここまで演出できるとは驚き
「日常的にカフェを利用する中から、住空間を考えるきっかけを提供したい」という願いが込められたカフェ。一見、住宅展示場やショールームにありがちなカタログやポスター、模型など営業ツール類は一切見られません。
実はこれも一つの戦略だったよう。詳細は次ページで。