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被虐待児症候群・児童虐待の種類と対策(3ページ目)

新聞の社会面で見られることも多い被虐待児症候群・児童虐待。社会問題化しており、年々増加傾向です。虐待には様々な種類があり、それぞれに合った対策が必要です。また、国民は虐待の事実があれば、法律的に通報しなければいけません。そのためにも虐待について知っておく必要があります。

清益 功浩

執筆者:清益 功浩

医師 / 家庭の医学ガイド

発見のポイント

■両親や子どもの育てている人の状態
  • 怪我してもそのまま様子を見ていたり、子どもが病気のように見えても病院に連れて行っている感じが無い
  • 怪我した状況や症状の経過などの内容が変わりやすくて、ちょっと考えると筋が通らないことがある
  • 症状などの質問に対して、妙にいらだったり、子どもが勝手に怪我したなどと言う
  • 怪我をした時に、周りに人がいなくて、誰も見ていないことが多い
  • 入院が必要と言われてもどうしても入院を断わり、次に病院に来なかったりする
  • 入院した子どもにあまり面会に来なかったり、付添わなかったりする
  • 子どもに関して、無関心な様子で、あまり病気のことなどを聞いてこない
  • 母子手帳を見たら、予防接種や健診の記録がない
  • 感情的になって、行動するために、様々な人とトラブルになる
など

■子どもの状態
  • 汚い、悪臭のある服装をしている
  • 無表情
  • 痛みのある検査も抵抗せず泣かない
  • 養育者の前では無口になっている
  • 食事をガツガツ食べたり、食べ物を盗んだりする
  • 身長が低い、体重が少ないなどの栄養不良
  • 古い出血斑と新しい出血斑がある、拘束した跡がある、不自然な火傷
  • 古い骨折と新しい骨折、事故の既往の無い肋骨骨折
  • 頭蓋内出血、眼球損傷、網膜の出血
  • 内臓損傷、内臓破裂
  • 外陰部の外傷、妊娠
など

何かおかしいと思うことが大切で、そのおかしいという感覚について深く考えてみてください。そのことで、おかしい原因がはっきりして、早期発見につながります。


被虐待児症候群・児童虐待の対応

家族愛

このように家族仲良くありたいものです

早期発見と早期対応が重要です。少しでも不自然であれば、児童相談所に通告します。これは法律で決められていることと割り切って、虐待が無かったとしても通告者には責任は問われません。通告者に対しても個人情報が保護されています。

虐待が疑われる場合は、親子であれば親子の分離と子どもの身体の精査のために入院することが多く、帰宅が危険の場合は、施設入所が考慮されます。
何よりも子どもの心のケアが大切になります。子どもとの信頼関係と感情表現、心理状況を見る上で、遊戯療法や箱庭療法などが行われます。

養育者には、養育者のストレスの軽減、虐待に至る経緯、生活歴などを聞き取り、カウンセリングと心理療法が行われます。特に、養育者の虐待の危険因子として、自分が幼少期に虐待を受けていたこと(世代間連鎖)、相手の立場になって対応する能力不足、精神的未熟、自立が不十分、未成年の出産や望まれない出産、育児援助の不足、生活のストレス、薬物依存症、アルコール依存症などの精神疾患などがあります。

兄弟姉妹などの家庭内のケアも必要になります。

被虐待児は、心的外傷後ストレス障害や摂食障害、人格障害などの発達障害、精神疾患になる可能性があり、自分が親になった時に虐待をする世代間連鎖が起こります。

何とか虐待の連鎖は止めたいものです。

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