歌で泣かせる!コーラスグループの物語
『ジャージー・ボーイズ』(2014年度作品)貧困街でチンピラ暮らしをしていたトミー(ヴィンセント・ピアッツァ)は、美しい声の持ち主フランキー(ジョン・ロイド・ヤング)と出逢い、自分のバンドに招き入れる。フランキーが入ったことからデビューのきっかけをつかんだ仲間たちはザ・フォー・シーズンズとしてデビュー。「シェリー」が爆発的なヒットとなり、スターになっていくけれど……。
クリント・イーストウッド監督作にハズレなしっていうけど、この映画も実によい仕上がり。フォー・シーズンズへの尊敬と愛は歌唱シーンを見ればわかる! この映画は『レ・ミゼラブル』と同じく、歌を別録音にせず、撮影のときに生歌を収録しているのです。特に『君の瞳に恋してる』は圧巻。この楽曲のエピソードを描いた後に素晴らしいタイミングで歌唱に入るのですよ。これ泣かずにいられないでしょう!
フォー・シーズンズの4人それぞれの個性が確立しているのもドラマ的には良かったのかもしれない。フランキーの義理堅さと一番地味なニックの苦悩にはグっときました。バンドのもめ事というありがちな物語を描き方の妙で珠玉の名作にしてしまったイーストウッド監督に拍手!
2014年9月27日公開
監督:クリント・イーストウッド 出演:ジョン・ロイド・ヤング、エリック・バーゲン、マイケル・ロメンダ、ヴィンセント・ピアッツァ、クリストファー・ウォーケン、マイク・ドイルほか
(C) 2014 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC ENTERTAINMENT
『ドリームガールズ』(2006年度作品)
デトロイトで歌手デビューを夢見る3人の娘たちの才能に目を付けた中古車ディーラー(ジェイミー・フォックス)がマネージメントしたコーラスガールズは、やがて世界を席巻するグループに成長していく。しかし、仲間内の確執が原因で成功とは裏腹に関係は悪化していく。
『ジャージー・ボーイズ』同様に、彼女たちも世界的な成功が確執を生み、仲間割れしてしまう。『ドリームガールズ』にはフォー・シーズンズとは違う女性ならではの嫉妬が渦巻き、恋愛もからんでドロドロ度は増しています。とはいえ、ビヨンセやこの映画でアカデミー最優秀助演女優賞を受賞したジェニファー・ハドソンのパンチのきいた歌唱シーンは素晴らしいです。
ちなみにこの映画のモデルとなったグループはダイアナ・ロスがいたシュープリームス。また同じくガールズグループ“ディスティニーズ・チャイルド”だったビヨンセにとって『ドリームガールズ』のストーリーは、シャレにならない内容だったかもしれないな~と変に勘ぐってしまいました……。
監督:ビル・コンドン 出演:ジェイミー・フォックス、ビヨンセ・ノウルズ、エディ・マーフィ、ジェニファー・ハドソン、アニカ・ノニ・ローズ、ダニー・グローヴァーほか
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