日本人を脅かす空家リスク
最近はマスコミで「空家リスク」という言葉を聞くようになりました。日本にはすでに全国に13%の空家があり、その存在は、街の安心安全を脅かしつつあります。空室率は、2040年には40%にも及ぶかもしれないという恐ろしい予測もあります。空家は社会に悪い影響をもたらすことですが、もっとも困っているのは、まちがいなく所有者です。売るに売れない、貸すに貸せないという状態で、固定資産税だけは払い続けます。最悪の場合では、ローンの返済まで残っていたりします。
人口の減り始めたこの国で、不動産投資はよほど慎重にならなければいけません。不動産価格の上昇には、人口が増え、経済が成長することが絶対条件だからです。
不動産投資は人口の増える国で
日本で不動産投資がむずかしいのならば、海外でという発想は当然のことでは、どんな物差しで投資先を選ぶべきでしょうか?人口増と経済成長という条件の他に、国の相性も考慮しなければなりません。外国人が不動産を所有できない国はけっこうあるからです。買った不動産が自分の名義で登記され、所有権が確保されるということは必須条件。その上に、現地でローンが借りれれば、最高です。
そのような投資適地は世界にそうはありません。その中でも、日本人が目の届く範囲というと、やはりアジアと北米になります。北米は成熟した市場ですが、妙味はありません。その点、アジアは人口増+経済成長という点では、今後がとても有望です。特に東南アジアでは、力強い経済成長が始まっています。
経済成長と人口増加で注目されるアジア
東南アジアで経済成長率10%以上の国は、カンボジア、ミャンマー、ラオスです。これらの国は体制がまだ未成熟なのでリスクがあります。私の目から見れば時期尚早といえます。経済成長で、その次に来るのがフィリッピン、インドネシア、マレーシア。マレーシアの不動産はすでに高騰してしまいました。インドネシアでは外国人が不動産を所有することはできません。ということで、消去法ではありますが、アジアに残る不動産投資の最適地は、今はフィリッピンなのです。
フィリピンの魅力
フィリピンの人口はすでに1億人突破しており、2040年 には1億4000万人程度 まで増加すると言われています。アジアでも、中国、インド、インドネシア、日本に次ぐ大国です。産業としては農業、鉱業、工業が盛んですが、近年注目されているのは、BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)。これはコールセンターなど、英語圏の先進国から業務の一部を委託される事業のことです。2010年にはインドを抜いてフィリピンがBPOの世界第1位のシェアを持つに至りました。
BPOを支えているのはフィリピン人の特性です。フィリピン人はきれいな英語を話し、識字率も高いのです。そのうえホスピタリティがあります。安価で英語力がある豊富な労働力がフィリピンの成長を支えています。
親日派のフィリピンに日本人が投資する適地としては、首都マニラと第二の都市セブがあります。マニラでは、不動産価格がかなら値上がりしてしまい、妙味が薄れていますが、セブの方はまだこれからです。
近年ではフィリピンでは富裕層が急速に発生しており、海に近い安全なリゾーチ施設に対する需要が拡大しています。特にセブ・エリアは治安も良く、アジアでも一等級のリゾート地帯で、海沿いには海外資本のリゾート施設が立ち並んでいます。
海外不動産投資の3つの目的
将来の資産分散の拠点をアジアに持つなら、今が検討のチャンスだと思います。ただ、やみくもに物件探しをしてはいけません。目的を明確にしないとショッピングになってしまいます。海外不動産に投資するときの目的には、以下の3つが考えられます。自分の目的を明確にして、海外投資を成功させましょう。
1、値上がり後売却をして、キャピタルゲインを狙う。
2、長期保有して、賃貸によるインカムゲインを狙う。
3、セカンドハウスとして、老後の住まいにする。
最後に、不動産投資を始めるには、それなりの自己資金が必要です。資金を作るためにも、まずは国際分散で堅実な投資をスタートさせてください。
【参考記事】
「10年間で1000万円作る資産運用の方法」