レバレッジが威力を発揮
2014年9月の日経平均株価は月間ベースで2ヵ月振りの上昇。8月末と比較して748円93銭、率に直して4.86%の上げとなり、上昇幅、上昇率共に2013年11月以来の大きさとなり年初来高値を更新しました。10ヵ月振りの大幅な上昇を反映して、2014年9月の騰落率ランキングはほぼ日本株ファンド一色となりました。ただし、上位を占めたのは日本株を対象とするブル・ベア型ファンド、かつレバレッジをかけたものとなりました。
第1位となったのは、騰落率19.82%の野村アセットマネジメント「野村3.5倍ブル・ベア(日本株3.5倍ブル)」です。基準価額の値動きが日々の日経平均株価の概ね3.5倍の値動きになるように運用されています。9月の日経平均株価の上昇率は4.86%、3.5倍にすると騰落率は17.01%ですから良好な運用成績だったと言うことができます。
第2位のSBIアセットマネジメント「SBI日本株トリプル・ブルベア(ブル)」、第3位の楽天投信投資顧問「楽天日本株トリプル・ブル」は、共に商品名に記載されているように日経平均株価の概ね3倍の収益の確保を目指すタイプ。第4位から第6位のブル・ベア型ファンドは、日経平均株価の概ね2.5倍の収益を目指すタイプとなっています。
信用取引は追い証等があり怖いという人でも、レバレッジをかけたブル・ベア型ファンドであれば、追い証等はないうえ日経平均株価の値動きの数倍の収益が期待できます。積極的に運用したい人は注目と言えますが、株価が予測の反対の動きとなれば、損失も日経平均株価の値動きの数倍になることをお忘れなく。
騰落率ベスト10の下位は通貨選択型、中でも急速に円安が進んだ米ドルタイプが入っているほか、唯一第10位には中国株を投資対象とする野村アセットマネジメント「野村新中国株A株投信」が入っています。運用会社を見ると野村アセットマネジメントのファンドが5本も入っているのが印象的です。
過去3年もブル・ベア型ファンド健闘
2014年8月の騰落率の記事において、過去1年の騰落率ランキングに言及したことから、今回は過去3年(2014年9月末現在)の騰落率を見ることにします。過去3年の騰落率ランキングは、日本株型、テーマ株のバイオタイプが健闘しています。過去1ヵ月のランキングでも述べたレバレッジ3倍型の楽天投信投資顧問「楽天日本株トリプル・ブル」、SBIアセットマネジメント「SBI日本株トリプル・ブルベア(ブル)」が第1位、第2位となっています。野村アセットマネジメントのレバレッジ3.5倍型がランクインしていないのは、同ファンドは2014年6月11日設定されたファンドだからです。
また、日本の新興市場株式を主な投資対象とするファンドが、第3位~第5位、ならびに第9位にランクインしています。3年前は2011年9月末ですが、それ以降に新興市場ではガンホー・オンライン・エンターテイメント、ミクシィなどの大化け株が現れたことが新興市場株を投資対象とするファンドが健闘している要因と考えられます。
日本株型以外では、2本のファンドがランクインしているテーマ株型で、世界のバイオ関連株や医薬品株を投資対象とするファンドとなっています。バイオ関連業界では新薬開発も然る事ながら、業界再編(M&A)が活発に行われたことも好成績の要因と思われます。エボラ出血熱の拡がりが懸念されていることから、同病に対する特効薬の開発に拍車がかかるとバイオ関連株の好調はさらに続くかもしれません。
第7位には、中東関連株式を投資対象とするファンドが入っていますが、過去1年の騰落率ランキングがほぼインド株一色と言うことを考えると、意外性があるように思えてなりません。