インデックスファンドの資金流出目立つ
2014年9月の公募投資信託の資金流入・流出ランキングによると、月間のベスト（ワースト）10ランキングになりますが、資金流出の第15位までに日経平均株価に連動するインデックスファンドが5本もランクインしています。通貨選択型を含めれば、日本株ファンドは上位15本中8本が日本株を投資対象とするファンドですから、個人投資家は利益確定を積極的に行ったことがわかります。事実、東京証券取引所が公表した投資部門別株式売買動向によると、投資信託の売り越し額は3044億円。1996年4月の3544億円以来、実に18年5ヵ月振りの高水準だったのです。個人投資家は逆張り投資が多いと言われることから、日経平均株価が約9ヵ月振りに2013年12月の高値を更新したことで、利益確定を優先させたのだと思われます。
また、資金流出でトップだったのは8月に引き続きフィデリティ投信の「フィデリティ・USハイ・イールド債券ファンド」の474億円。第2位の国際投信投資顧問の「グローバル・ソブリン・オープン（毎月決算型）」の268億円を大幅に引き離しています。ただ、ハイ・イールド債券を投資対象とする投資信託全般から資金が流出しているわけではなく、フィデリティ・USハイ・イールド債券ファンドのみ突出しているのが気になります。
分配金が減額されているわけではなく、また運用成績が急激に悪化したわけではないので、資金流出にブレーキがかかるのか、このまま継続するのか要注意と言えそうです。
グローバルREITが資金流入トップ
2014年に入ってから資金流入のトップを快走していた野村アセットマネジメント「野村ドイチェ・高配当インフラ関連株投信（通貨選択型）米ドルコース（毎月分配型）」の資金流入額は405億円と第4位に低迷。代わって第1位になったのは2014年では初の日興アセットマネジメント「ラサール・グローバルREIT・ファンド」で591億円でした。同ファンドは日本を含む世界のREITを投資対象としており、2004年3月26日設定された運用履歴10年超の老舗ファンドの１本です。毎月の分配金は1万口当たり60円が支払われています。後ほど触れますが、2014年10月3日現在の純資産総額では、グローバル・ソブリン・オープン（毎月決算型）に約60億円の差まで猛追しています。
また、純資産総額トップを競っている新光投信の「新光US－REITオープン」は、257億円と2014年中の平均的な資金流入額ですが、順位は第10位に甘んじています。それだけ資金流入が他のファンドにも拡がったと言えますが、どこまで資金流入が続くのか注目したいところです。新規設定は第7位に大和証券投資信託委託の「ダイワ新成長株主還元株ファンド」が351億円集めたのが目立っただけでした。
純資産総額ランキングはトップが安定せず
2014年10月3日付けのものになりますが、純資産総額ランキングはトップが目まぐるしく変わる状態が続いています。一時は第2位に数百億円の差をつけた「野村ドイチェ・高配当インフラ関連株投信（通貨選択型）米ドルコース（毎月分配型）」がトップを堅持するのかと思われましたが、再び第2位となってしまいました。
純資産総額をチェック
第1位は「新光US－REITオープン」の1兆2993億円でした。第2位とは約50億円の差ですから、トップ安泰とはとても言えるような状況ではありません。第3位のフィデリティ・USハイ・イールド債券ファンドも約200億円の差なのですが、資金流出となっていることから、１位の奪還は難しいと言えそうです。
低迷から抜け出せないのがグローバル・ソブリン・オープン（毎月決算型）です。2014年4月に純資産総額トップから陥落したと思ったら、背後には第5位のラサール・グローバルREIT・ファンドが迫っています。2014年の終盤に差しかかるというのに資金の流出が止まらないことから、第5位に陥落するのは時間の問題。年内には純資産総額が1兆円を割れてしまうかもしれません。
栄枯盛衰は仕方がないにしても、一世を風靡したグローバル・ソブリン・オープン（毎月決算型）の凋落は目を覆うばかりです。
