ピアノのレガート奏法とは、音をなめらかにつなげて弾き方のこと
レガートのやり方をおさえると、よりきれいな演奏になりますよ
<目次>
レガート奏法のコツは音の響きが重なるように弾くこと
レガートを弾く時にまず気をつけなければならないのは、音と音の間が切れないように弾くことですが、それだけではレガートには聞こえません。レガートに聞こえるようにするには、前の音と次の音の響きが重なっている瞬間をつくることが必要です。「音が切れないように弾いているのに、なぜかレガートに聞こえない。」という悩みをもつ人は必ずと言っていいほど、次の音を打鍵し始めるのと同時に前の指が浮き上がってきています。レガートに聞こえるためには、次の音が鳴るまで前の指を鍵盤から浮かせずしっかりと押さえておくことが大切なのです。
この時、響きを重ねようとして指を上げるタイミングが遅すぎると、音が濁ってしまうので、練習の時にはゆっくりしたテンポで指の動きを見ながら、しっかり耳で確認するようにしましょう。
レガートのイメージ(実際には音の響きは弾いた瞬間から減衰する)
レガートは、音の粒を揃えることも重要
音の響きは重なっていても、ひとつずつの音が硬い響きだとレガートに聞こえない
また、音の粒はそろっていても、そのひとつずつの音がアクセントをつけたようにはっきりしていると、ゴツゴツした響きになりレガートには聞こえません。打鍵の勢いが強かったり、指先が立ちすぎている、手首を上下に振りすぎているとそのような音になりレガートに聞こえづらくなるので気をつけましょう。
レガートは、フレーズの中に細やかな抑揚をつけよう
ロボット読みと読経の大きな違いは抑揚。レガートをイメージする際のヒントにしよう!
文章を何の抑揚もつけずに平らに読むとどんな感じになるか想像してみてください。ロボットのようにトツトツとした感じになるでしょう。でも、文章に抑揚をつけて読むと、響きの中に流れが生じて言葉全体がつながって聞こえます。
音楽も同じで、ひとつひとつの音を同じ強さで弾いてもなめらかには聞こえません。フレーズの中に細やかな抑揚をつけることでレガートに聞こえる効果をもたらします。
ちなみに、抑揚をつけなくてもレガートに聞こえる例もあります。それは、お経です。長いフレーズを息継ぎもせず切れ目なく発音すると、抑揚に乏しくてもなめらかにつながって聞こえます。じっくり聞いていると、お経は前の音を鼻の奥に響かせながら次の音を発音しています。つまり響きが重なっている瞬間があるのです。それはまさに最初にご紹介した「音の響きが重なるように弾く」ということと共通しています。
レガート練習方法、ポイントはペダルに頼らないこと!
レガートというと、すぐにペダルに頼ってしまう人がいます。確かにペダルを踏んでいると音が途切れることはありませんが、だからと言って必ずしもなめらかなレガートに聞こえるわけではありません。ペダルを踏むと、音の輪郭がぼやけて響きが広がります。踏んでいない時よりも雰囲気が出るので「きれいに弾けている」と勘違いしやすいのですが、音が不揃いだとか、硬い音質だというような特徴、欠点までも拡大されて聞こえるので、実は踏んでいない時以上に注意を払って指でレガートにする努力が必要なのです。
最初からペダルを踏んで練習すると、音が切れていないということだけで満足してしまい、美しいレガートに対する意識がなかなか持てなくなります。また、なめらかに聞こえない原因が自分の指でレガートに弾けていないという場合でも、ペダル効果でそのことに気づかず、的の外れた練習を繰り返し時間を無駄にすることになります。
ペダルはあくまでも音をつなげる補助的な役目と、曲にニュアンスを付け加える目的で使うもの。まずはペダルなしでレガートに聞こえる練習をしましょう!
レガート練習の際は、手首と腕の柔軟さを意識するのがコツ
レガートに聞こえるためのポイントとして、「音の響きが重なるように弾く」「音の粒を揃える」「フレーズに抑揚をつける」の3つをご紹介しましたが、これらに共通して必要なことがあります。それは、手首や腕の柔軟性!体に力が入って指や手首、腕の動きが硬いと、打鍵のタイミングや音量の微妙な調整がしづらくレガートに弾くことが難しくなるばかりか、そのまま練習を続けると手や腕が疲れたり、最悪痛めてしまうこともあります。弾いている時には体に余分な力が入っていないかチェックしながら練習するように心がけましょう。
【関連記事】