7代目セロー250は快適に通勤に使えるのか?
1985年の発売以来ずっと愛され続けるセロー。マイナーチェンジ、フルモデルチェンジをあわせて6回も車体が変更され進化を続けてきました。
特に近年排気量が225ccから250ccに変更された6代目、7代目のセローは先代までに比べて通常の街中を走る際により快適に走れるようにモデルチェンジされました。
先日MT-07の記事を書くにあたり兄弟車両のMT-09の開発者インタビューを見ているとこんな表記が見受けられました。
「じつはヤマハの社員の多くは、通勤にトレールバイクを使っています」
以前、wr250xをお借りした際、一週間楽しく通勤に使わせていただきましたが足つきの悪さが唯一気になる点でした。
また、250ccの車両ながら燃料はレギュラーではなくハイオク。燃費も決して良くはないため、
「この車両を継続して通勤で使用するのはちょっと厳しい」と感じました。
では、セロー250はどうなのか? 一週間通勤で使用して使い勝手をインプレッションします。
<目次>
セロー250はオフロードバイクとしては異例の足つきの良さ
バイク業界に入る前はオフロードバイクに対する印象は良いものではありませんでした。
私のように身長が低い人にとってカタログデータ上に掲載されている「シート高」は非常に重要です。
現行の車両で言うと、ホンダCRF250Lのシート高が875mm。カワサキKLXが890mm。ヤマハWR250Rが895mm。オフロードバイクはシート高が高く足つき性が悪いのです。
普通自動二輪の教習に使われているCB400SFのシート高が755mmであることからも、オフロードバイクのシートの高さが伺えます。
オフロードに乗っている人は、
「車体が軽いから大丈夫だよ」
「サスペンションが柔らかいから、座るとサスペンションが縮んで、シート高は大分下がるよ」
という方がいらっしゃいますがそういう人に限って身長が高い。
「身長が低い人の気持ちがオフロード乗りの人たちはわからないんだ!」とネガティブな考えをずっと持っていました。
バイク業界に入り、様々な車両に乗るにつれてオフロードバイクの苦手意識は薄くなりましたが、やはり足つきの悪い車両に乗る際には少し緊張します。
シート高はバイクの重要なスペックの一つです。実際にホンダのホームページなどでは車両一覧から足つき順に並べ替えて表示することが可能になっていおり、ユーザーの足つきに対しての関心が高い事が伺えます。
では、セロー250はどうかというとなんとシート高が810mm。
オフロードバイクの中では群を抜いて足つき性がいいのです。しかも他のオフロードバイクと比べても前後のサスペンションが柔らかく、バイクに跨りシートに体重を掛けた状態。いわゆる乗車1Gの状態の時。普段から乗っている通勤バイクのホンダCB400SF(NC31)の足つき性とほとんど変わらないのです。
同車のシート高は770mm。長年連れ添ったこの相棒は既にメーターが一周して走行距離が10万キロを超えているため、サスペンションもヘタリ、カタログスペックに比べれば足つきは良くなっているはずですが、体感的にはその車両と足つき性はほとんど変わりません。
これは前述したサスペンションの柔らかさによるシートに体重を掛けた時の沈み込みの量と絞り込まれたシートが関係していると思われます。
シートの高さからオフロードバイクを愛車の選択から外してしまうユーザーも沢山いらっしゃると思いますが、セロー250に関しては、そんな心配はありません。カタログスペック以上の足つき性を感じることが出来ます。
セロー250は燃費も優秀で街中を快適に走行可能
セロ250の車重はたったの130kg。軽量なボディは取りまわしも軽くマスの集中化と低重心化によって運転中も扱いやすいため軽やかに走ることが出来ます。
ブロックパターンのタイヤは押し引きの際はごつごつ感がありますが、意外にも走行中はゴツゴツ感を感じません。
セロー250のエンジンは単気筒・4ストローク・SOHC・2バルブエンジンを搭載しており最高出力は18ps/7500rpm。
決して突出したスペックのエンジンではありませんが軽量なボディを走らせるには充分なスペックで加速に不満を持つことはありません。街中の信号待ちでも他の車両においていかれることはありません。
そして何より燃費が非常に良好。私が一週間通勤で使用して実際に計測してみたところ、1リッターあたり33.5キロでした。
セロー250の燃料タンク容量は9.6Lしか入りませんが、燃費が非常に優秀なため、一度満タンにすれば数値上は321キロも走行することが可能です。
連続航行距離が300キロ前後となれば、街中だけでなく遠出も問題なく可能です。
ツーリングセローのカスタム装備は非常にお得で優秀
今回お借りしたセロー250はツーリングセローという4点のワイズギア製オプションがインストールされたモデルでした。驚いたのは荷物を積むためのアドベンチャーリアキャリア。なんとこのリアキャリア最大積載量が6.5kgなのです。社外のリアキャリアだと大体が3kgか5kgが最大積載量ですがセロー250のアドベンチャーリアキャリアは6.5kg。
最近は車両に荷物を積むためにリアボックスを装着する人も増えていますが、大型の物になると、リアボックスだけで5kg近い重さの物もあります。セロー250にはこういった大型のリアボックスも装着可能ですので、かなりの量を積載することが可能です。
また、小ぶりなウインドスクリーンもほぼ垂直に装着されているので、しっかりと風をさえぎり、疲労の軽減に役立っています。また、本来は山中を走る際に枝などがあたって手を怪我することのないように取り付けられているナックルガードは街中を走行する際には風を遮り寒さを軽減してくれます。
更に車体下にはアルミ製のアンダーガードが装着されており林道走行時に飛び石などからエンジンを守ります。
これらのカスタムを後からしようとすれば8万1756円かかりますが、ツーリングセローとセロー250の価格差は5万1840円。
カスタム装備代だけで2万9916円もお得ですし、後からカスタムしようとすればパーツ代だけでなく取り付け工賃もかかってしまうのでとてもコストパフォーマンスが高いモデルです。新車で買うならツーリングセローがおすすめですね。
セロー250は快適に走るためのノウハウがつぎ込まれている
セロー250は前後スポークホイールが採用されていますが、リアのタイヤはチューブレスタイヤを装着可能なホイールが装着されています。
チューブレス化の恩恵は単にタイヤの中にチューブを入れる必要がなくなることが軽量化に繋がるだけでなくパンクしてしまった際の修理を簡単にし、タイヤ交換時は手間を減らしバイク屋さんで交換する際にも工賃が安くなります。
毎日通勤でバイクを使っていると、釘を拾ってパンクさせてしまうことが稀にあります。この時代に道路に釘が落ちているというのが信じられませんが、1年間通勤で使用していると1度ぐらいは釘を拾ってパンクしてしまうことがあります。しかもそれはほとんどの場合はフロントタイヤではなくリアタイヤなのです。
更に一般的なオフロードバイクはタイヤとフロントフェンダーの間が離れており、雨天時などはダウンチューブが泥だらけになってしまいます。
しかしセロー250はフェンダーの前側と後ろ側がセパレートされているので前側は一般的なオフロードバイクと変わりませんが、リア側はタイヤに沿うような形で装着されているのです。
この辺りからも快適にバイクに乗るための工夫が感じられます。今までカタログスペックだけでオフロードバイクを敬遠していた方にも文句なしにおすすめでき、快適な通勤バイクを探している方にもぜひともおすすめしたい1台です。
セロー250を少しカスタムするなら
マフラーを交換するといえば、サイレンサーだけ変えるスリップオンやサイレンサーとエキゾーストパイプを両方替えるフルエキゾーストタイプが一般的です。マフラーメーカーのSP忠男はエキゾーストパイプだけを交換する新しい提案をしています。実用域でのトルクアップが望めるアイテムです。
軽量な車体に単気筒エンジンを搭載するセロー250はどうしても高速走行時には車体の振動に悩まされます。ヤマハ純正オプションのダンパーを装着する事で安定感が段違いになります。
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