子育てに関わってくれる人を増やす
子どもを支える円を作りましょう
なめらかな「円」になればなるほど、ひとつの頂点あたりの負担は軽くなり、余裕を持って子どもと向き合えるようになるでしょう。関わる大人の数に比例して子どもの世界は広がっていきます。愛情をもらえる機会も増えます。また、もしなにか問題が起きたとしても、それらは早期発見され、重大なエラーにつながりにくくなります。それは子育てに自信のない母親にとって、なんと気楽なことでしょうか!
頑張りすぎて息切れしてしまい、子どもに笑顔を返せなくなってしまったら、保健センター、自治体の子育て支援課、病院、カウンセラーなど「専門家」の手を借りることも検討してください。子育てに悩むのは、子どもを大切だと思っているから。相談するのは、恥ずかしいことではありません。
周りの人を上手に巻き込んで、「自分と子どもを支えてくれる人」を増やしましょう。「声をかけてくれたら、手伝いたい」と思ってくれている人は、案外たくさんいるものです。ファミリーサポートセンターや一時保育を活用して「ひとりになれる時間」を作ることもおすすめです。
そうは言っても、母親の役割は重大よね、という思いがあるかもしれません。
「完璧」を目指さない
コミュニケーションの質を高めることが大切です
両親が共働きで子どもを保育園に預けたために、親との愛着が形成されなかったという話は聞いたことがありません。むしろ、子育てから完全に解放される時間を持つことによって、子どもと過ごす時間が濃密になり「仕事のストレスは子育てで、子育てのストレスは仕事で解消!」というサイクルが回り始めたというのはよく聞く話です。愛着形成は「養育者の性別」でも、一緒にいる時間の「量」でもなく、コミュニケーションの「質」なのです。
子育ても家事も、煮詰まったら手を抜きましょう。「完璧な母親」は、子どもにとっては息苦しいもの。親は子どもが笑顔で生きていくための最低限のサポートができていれば合格、と考えていいのではないでしょうか。自分の中のハードルを下げて気持ちにゆとりができれば、子どもへの接し方も変わってくることでしょう。
「愛している演技」で乗り切る
「子どもを愛する」ということが、あまりに重大な母親の役割として捉えられているために、そこでつまずいてしまっているママは少なくありません。しかし、子どもへの愛情(母性)は、本能ではなく、子どもとの関係性の中で「育まれるもの」。親子にも相性はありますし、長時間一緒にいればイラッとくることはあって当然です。最初から子どもがかわいくてたまらないというのは「普通」ではなく「ラッキー」。そのことを知っていれば、子どもを愛せないと焦ったり、深く悩んだりしなくて済むかもしれません。子どもとうまく関われない時は「愛している演技」で乗り切りましょう。「演技」ということばに抵抗を感じる人もいるかもしれませんが、問題なのは、親が子どもを愛せないことではなく、子どもが親に愛されていると感じられないことなのです。
心理学には「悲しいから泣くのではない。泣くから悲しくなる」という理論(ジェームズ=ランゲ説)もあります。まずは形から入ってみましょう。周りの子連れママたちの表情を「観察」して、女優になったつもりで「まね」してみましょう。仕事や勉強を熱心にしているフリをしたことがある人なら、きっとできるはずです。「役」になりきることができるようになれば、しめたもの。子どもを愛せないと自分を責めるのをやめて、まずはトライしてみてください。
それでもうまくいかなかった時は、カウンセリングを受けてみるのもおすすめです。母親自身の子どもの頃の傷つきが「子どもを愛すること」を邪魔していることも多いからです。「大丈夫、母親なんだから愛情は自然にわいてくるわよ!」といった楽観論を言わないカウンセラーを探してみましょう。
WAN情報マップ:フェミニストカウンセラー
子どもは成長していきます。「子育て」という言い方をおこがましく感じるくらい、勝手にぐんぐん育っていきます。親として最も大切なのは、子どもを虐待しないこと、ほどよく面倒をみることです。愛があろうが、なかろうが。親は子どもの「育ち」を邪魔しなければいいのです。