ある程度貯まったら、「ふやす」ことも検討しよう
以前の記事『「1000万円貯蓄」がある人の習慣4つ』では、1000万円の貯蓄がある人がよくしている習慣についてお伝えしました。これまでにも、取材でたくさんの「貯まる人」にお会いしてきましたが、その中にも「1000万円もの貯蓄をすべて普通預金に入れっぱなし」「次の一歩をどうしたらよいのか……」と、悩んでいる方が意外と多くいらっしゃいました。
また、「500万円ほど貯まったけれど、どうしたらいいかわからない」という声もよくお聞きします。
銀行の普通預金の金利は、大手銀行なら0.001%程度。100万円預けても、1年間で10円(税引前)の利子しかつきません。大手銀行の1年ものの定期預金は0.002%程度なので、100万円を1年間預けると利子は20円(税引前)です。
ところが、さらに金利の良いものに預けたり、一部を投資にまわしたりすると、貯蓄を元手に少しずつふやしていくことも可能なのです。
そこで、ある程度(おおまかな目安としては300万円程度)貯まった人に向けて、次のステップについて紹介します。
※金利等は、2021年12月16日時点の情報です。
ステップ1:ネット銀行の口座開設をして、定期預金を始める
貯蓄初心者の方は、「元本保証のものに預けたい」「せっかく貯めたお金を減らしたくない」という方が多いと思います。そこで、元本保証の「定期預金」のうち、少しでも金利のいいものに預けかえてみましょう。たとえば、ボーナスシーズンには、金利アップキャンペーンをすることが多いので、ぜひチェックしてみてください。冬のボーナスシーズンの今なら、ソニー銀行の1年ものの定期預金金利は0.13%です(2022年2月28日まで)。100万円預ければ、利子が1300円(税引前)になります。先ほどの10円から、いっきにふえますね。
その他、1年もののお得な定期預金金利は、住信SBIネット銀行の0.1%(2022年2月6日まで)、auじぶん銀行の0.2%(2022年1月31日まで)などがあります。
ステップ2:ネット証券で月1000円程度の投資を始める
次に検討したいのが、「ネット証券」で小さい金額で投資を始めてみることです。貯蓄初心者の方は「投資なんて怖い」「投資は、お金が減りそうで心配」という方が多くいらっしゃいます。それは「投資=大きなお金が必要だ」と感じるからではないでしょうか。確かに、一生懸命働いて貯めたお金を投資して大きく損をしては困ります……。ところが、ネット証券などであれば、月に100円や1000円程度の小さな金額から投資を始めることもできるのです(月々の最低積立金額は、100円、500円、1000円など証券会社によって異なります)。
「株」を買うとなると、銘柄選びも難しく急激な値下がりが怖いと思いますが、「投資信託」なら、たくさんの株をまとめて束にして買うイメージですので、株を1つだけ買うのに比べて、リスクが分散される効果があります。
さらに、まとめてドンと1回で買うのではなく、毎月少額ずつ積み立てることで値動きのリスクも分散されます。
投資が初めてという方はまず、「インデックスファンド」を選ぶのも手です。インデックスファンドとは、日経平均株価など、“指数”と呼ばれるものへの連動を目指す投資信託のこと。
日本株式のインデックスファンドなら、東証1部上場の主要な株全体を買っていくようなイメージです(しかも1カ月あたり、100円や1000円などの小さな金額から始められます)。外国株式のインデックスファンドなら、外国の株を幅広く、たくさん買っていくイメージです。
もし月々2000円投資できそうなら、日本株式インデックスファンドと外国株式インデックスファンドを、1000円ずつ投資していくのも一案でしょう。「積み立て」を選んで、途中値下がりしても気にせず(逆に値下がりにより、安く買えることになります)、長期間投資していきたいですね。
投資信託を積み立てる際には、「つみたてNISA」の口座で行えば、利益が出た場合に税金(20.315%)がかからないので、さらにお得です。ぜひ検討してみてください。
ステップ3:月5000円などでiDeCo(イデコ)を始めてみる
「iDeCo(イデコ=個人型確定拠出年金の愛称)」について耳にする機会が増えているでしょう。イデコとは、「老後資金を自分でつくる代わりに、税金を軽くしてあげますよ!」というお得な制度です。毎月、イデコでお金を積み立てていくことで、3つの税金のメリットがあります。
1)積み立てた金額の分、税金が軽くなること(掛金全額所得控除)
2)利益が出たらその利益に対して税金がかからないこと
3)将来受け取る際の税金が優遇されていること
働き方などによって、毎月利用できるお金の上限は異なります(勤務先によっては利用できない場合もあります)。いずれも最低金額は月5000円からですので「月に5000円ずつだったら、老後資金として準備してもいいかな」と思う方は、始めてみてはいかがでしょうか。
ただしイデコでは、口座開設時や運用中に手数料がかかりますので、5000円よりももう少し多く、余裕があれば月1万円くらいで積み立てができるといいでしょう。イデコでは「定期預金」なども選べますが、長期運用ができるいい機会ですから「投資信託」を選ぶことが賢明だと思います。
また、老後資金目的のため、原則的に60歳になるまでお金を引き出せないことには要注意。金融機関とは長いお付き合いになります(途中で変更することも可能ですが、少々手間がかかります)。慌てて始めることなく、どこが使いやすいか、どんな商品にするかをじっくり調べてからにすることをおすすめします。
ちなみにイデコへの加入年齢は60歳未満(60歳になるまで)だったのが、2022年5月からは、条件を満たせば65歳未満(65歳になるまで)まで可能になります。50代の方でも10年ほど積み立てができることになりますので、始めてみる価値はあるでしょう。
ガイドも、2014年から個人型確定拠出年金を活用しています。60歳まで引き出せないことは、逆に「しっかり老後資金が準備できる」というメリットだと感じています。
ステップ1、2、3、いずれに進んだとしても、これまでと同じように月々の貯蓄も続けていってくださいね。
以上、貯蓄が300万円程度貯まった後、「普通預金だけ」から脱出するステップについてお伝えしました。預金から、一歩踏み出してみると、世の中にはさまざまなお金のふやし方があるということが見えてくるはずです。まずは無理のない金額で始めてみてください。
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