偽痛風とは

偽痛風とは体の中、主として関節の中の軟骨、滑膜、腱などの組織に、二リン酸カルシウム(ピロリン酸カルシウム)の結晶が沈着する病態です。二リン酸カルシウムは解糖やDNA合成などに伴い生成されます。血中の二リン酸カルシウム濃度が上昇するといろいろな部位にこの結晶が沈着し、偽痛風発作が発生します。二リン酸カルシウム濃度が上昇する原因は完全には解明されていません。発作が痛風に似ていて、尿酸の上昇がみられないことから、偽痛風と呼ばれます。

大きな関節

体の大きな関節、膝、肩、股関節に好発します。



偽痛風の頻度・性差・年齢

高齢者に多発します。70歳代の6%、80歳代の14%、90歳以上の40% に偽痛風が発生しているというデータがあります。男性、女性に差がないという報告が多いですが、女性に多いという報告もあります。


偽痛風の症状

膝関節、肩関節、股関節、稀に手関節、手指関節に疼痛、炎症、腫脹、関節血腫、関節水腫として発病します。痛みは、痛風ほど激しくないことが特徴です。関節に炎症が続くと、血液や関節液が貯留して、関節血腫、関節水腫となり腫れてきます。全身的な症状としては発熱などの症状があります。

関節水腫

膝関節の炎症で、関節水腫を合併すると関節が腫れます。



偽痛風の診断

■画像診断
X線、CT、MRIなどで軟骨石灰化を調べます。

半月板

膝関節単純X線像。石灰化した半月板(軟骨)がわかります。


■関節液検査
関節液の中に二リン酸カルシウムの結晶を検出すれば偽痛風の確定診断となります。

結晶

関節液を採取して偏向顕微鏡で二リン酸カルシウムの結晶を観察します。


■採血
白血球上昇、CRP上昇、尿酸正常(痛風でないこと)、RAテスト陰性(関節リウマチの可能性が低い)の所見です。



偽痛風の治療法

■安静
関節の使用を制限して、炎症を沈静化します。

■患部の冷却、冷湿布
患部の熱と痛みを和らげます。

■薬物治療
  • 鎮痛薬
ボルタレン、ロキソニンなど非ステロイド消炎鎮痛薬(NSAIDと省略されます)を用います。

ボルタレン……1錠15.3円で1日3回食後に服用。副作用は胃部不快感、浮腫、発疹、ショック、消化管潰瘍、再生不良性貧血、皮膚粘膜 眼症候群、急性 腎不全、ネフローゼ、重症喘息発作(アスピリン喘息)、間質性肺炎、うっ血性心不全、心筋梗塞、無菌性髄膜炎、肝障害、ライ症候群など重症な脳障害、横紋筋融解症、脳血管障害胃炎。

ロキソニン……1錠22.3円で1日3回食後に服用。副作用はボルタレンと同様です。

どちらの薬でも胃潰瘍を合併することがありますので、胃薬、抗潰瘍薬などと一緒に処方されます。後発薬が複数あります。

  • ヒアルロン酸
関節液の成分であるヒアルロン酸を関節内に注射して、補充を行う治療です。

アルツ関節注25mg……1本1,258円で週に1回の注射を連続して数回施行します。副作用は過敏症、浮腫、顔面浮腫、眼瞼浮腫、顔面発赤、投与関節周囲のしびれ感、AST上昇、ALT上昇、GTP上昇、ALP上昇、LDH上昇、好酸球増多、ヘマトクリット低下、白血球増多、嘔気、嘔吐、発熱、倦怠感、蛋白尿、尿沈渣異常、動悸、ほてり、総蛋白低下、BUN上昇、蕁麻疹、発疹、そう痒感、投与関節水腫、投与関節発赤、投与関節熱感、投与関節局所の重苦しさなどです。後発薬が複数でています。379円から1,133円となります。

  • ステロイド
炎症を抑える副腎皮質ホルモンである、ステロイドを関節内に注射します。

デカドロン注1.65mg……1本107円で週に1回の注射を連続して数回施行します。副作用はショック、アナフィラキシー様反応、失神、意識喪失、呼吸困難、顔面蒼白、血圧低下、誘発感染症、感染症増悪、B型肝炎ウイルス増殖による肝炎、続発性副腎皮質機能不全、糖尿病、消化性潰瘍、消化管穿孔、膵炎、精神変調、欝状態、痙攣、骨粗鬆症、大腿骨頭無菌性壊死、上腕骨頭無菌性壊死、骨頭無菌性壊死、ミオパシー、脊椎圧迫骨折、長骨病的骨折、血栓塞栓症、下痢、悪心、嘔吐、胃痛、胸やけ、腹部膨満感、口渇、食欲不振、食欲亢進、多幸症、不眠、頭痛、眩暈、筋肉痛、関節痛、関節の不安定化、疼痛増悪、腫脹増悪、圧痛増悪、組織萎縮による陥没、満月様顔貌、野牛肩、窒素負平衡、脂肪肝、浮腫、血圧上昇、低カリウム性アルカローシス、中心性漿液性網脈絡膜症、網膜障害、眼球突出、白血球増多、ざ瘡、多毛、脱毛、皮膚色素沈着、皮下溢血、紫斑、皮膚線条、皮膚そう痒、発汗異常、顔面紅斑、紅斑、創傷治癒障害、皮膚菲薄化、皮膚脆弱化、脂肪織炎、発熱、疲労感、ステロイド腎症、体重増加などです。後発薬があります。1本56円となります。

■手術
炎症により関節が破壊されていて、痛みの発作が繰り返す場合、脊柱管狭窄症を合併した場合、末梢神経絞扼症候群を合併した場合などは手術が必要となります。膝、脊椎など部位により手術方法が全く異なりますので、部位に応じた手術方法を選択します。
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