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神秘の島の「伝説のストーンマネー」とは?!/ヤップ島

日本の南、約3000キロの太平洋上に浮かぶミクロネシアの小さな島、ヤップ島。ここはストーンマネー(石貨)が今も残る島として有名です。また近年ではダイビングのメッカとしても人気を博すヤップ島。日本から比較的交通の便も良いのに意外と知られていない太平洋の秘境をご紹介します!

中原 健一郎

執筆者:中原 健一郎

海外旅行ガイド

伝説に彩られた石貨(ストーンマネー)が使われる島

中には人の身長を遥かに超える巨大なストーンマネーも! 独特の文化が宿る神秘の島、ヤップ島

中には人の身長を遥かに超える巨大なストーンマネーも! 独特の文化が宿る神秘の島、ヤップ島


オセアニアと聞いて思い浮かべる観光地はどこでしょうか? グアム・サイパン、オーストラリアなどが有名ですが、太平洋はとても島が多い海です。それは島らしい島がほとんどない(といったら言い過ぎかもしれませんが)大西洋と比べれば歴然でしょう。広い広い太平洋の中には、まだまだあまり知られていない独自の伝統や文化を持つ島々がたくさんあります。そんな中の一つがミクロネシアのヤップ島です。

小道の脇にもストーンマネーがずらりと並ぶ!

小道の脇にもストーンマネーがずらりと並ぶ!

ここヤップ島の目玉はなんといっても行く先々で目にする巨大なストーンマネー! しかも、それらが今も現役で使われているというのがすごいところです。最大で直径3m以上、重さ5トンほどもあるストーンマネーが家の軒先や道路の脇にところ狭しと並べられている景観は世界でまさにここだけ!

 
これらの「ライ」と呼ばれる石貨は結婚や新築など人生の節目にあたる大きなイベントなどで使われるそうで、島の人たちの宝物としてずっと大切にされています。同行してくれたガイドさんの話によると、昔は敵の暗殺の対価などにも使われたことがあったとか…  

たくさんの石貨には、もちろんそれぞれの所有者が存在する

たくさんの石貨には、もちろんそれぞれの所有者が存在する

この重い石貨、支払いの時にはさぞかし大変だろうと思いましたが、そうではないとのこと。その所有権だけが新持ち主に移転し、石貨そのものは動かすことはないそうです。かつて日本の統治時代に政府が数えたところ、そんな石貨の数が万を超えて確認できたそうです。

 
ちなみに、パンやガソリンなどの日常生活には米ドルの現金が使用されています。

石貨はどこから運ばれてきたか

どこまでも青い海!一度は行きたい珠玉の世界遺産、パラオのロックアイランド

どこまでも青い海!一度は行きたい珠玉の世界遺産、パラオのロックアイランド

この巨大なストーンマネー、当然このヤップ島のどこかに採掘場があるのかと思いましたが、実はなんと遠く海を隔てたパラオから切り出して運ばれてきたそうです! そう、あのパラオの世界遺産「ロック(岩)アイランド」です! 石貨には全て50円玉のように穴が開いていますが、これは運搬のために開けられたもので、中に丸太を通してゴロゴロ転がして運んだそうです。

 
かつてヤップの男たちは小さなカヌーで海を渡った…

かつてヤップの男たちは小さなカヌーで海を渡った…

パラオとヤップの距離は約450km、まだ航海の技術も発達していない何百年も昔にカヌーで危険な海を乗り越えて、そして帰りはこの重い石を乗せて命がけで海を渡って運んできたのです。当然、海の底に沈んだ命や石も少なくなかったはず。そしてその伝説こそが、ヤップの石貨をこれだけの価値たらしめているのです。


貨幣価値はどうやって決まる?

石貨の価値は、その大きさとは関係がない

石貨の価値は、その大きさとは関係がない

貨幣であるからには、必ずその定量的な価値基準があるはず。もちろん石貨の表面に100とか1000とか書いてあるわけではありません。石貨の価値は、ヤップまで運ばれてきた時の苦難の物語の度合いによって、そしてその物語を伝承する「語り部」の技量によって、決定されるのだそうです。なんとも神秘的な話ではないですか?!

そんなわけで不幸にして海に沈んでしまった石貨にも、その物語によって今でも価値があるものが存在し、石には犠牲となった船乗りの名前が付けられているとか。

次ページは、ヤップへのアクセスや注意点など
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