上昇・下落局面で平均パフォーマンスを上回る
株価を上昇させることが国策と言っても過言ではないほど米国株は一般化していることから、NYダウやS&P500種などの株価指数が史上最高値更新と報道されても、あまり驚きはありません。高値圏にある株式に投資を行うには勇気がいるかもしれませんが、株価を上げることが国策であれば時間分散を活用し、長期投資を行えば大多数の人が投資の果実を得ることができるでしょう。ただし、投資タイミングなどによっては投資の果実を得るまでかなりの時間がかかることもありますので、長期に投資することができる余裕資金で投資を行うのは言うまでもありません。その米国株を投資対象とする投資信託で、本邦初の運用会社、GAMCO Asset Managememt Inc、通称「ギャベリー」が投資助言を行うファンドがDIAMアセットマネジメントが運用する「米国割安株ファンド(愛称:ザ・バリューハンター)」です。
ギャベリーの創始者であるマリオ・ギャベリー氏は「バリュー投資」の第1人者と呼ばれる人で、世界の運用会社で活躍するファンドマネージャーのお手本・頂点の一角とも言える存在の人です。
1977年9月からの米国バリュー投資の成績をS&P500種指数と比較すると、上昇時の米国バリュー投資の収益率は32.5%、S&P500種指数は同31.7%と突出してはいませんが、下落時の米国バリュー投資の収益率は-13.0%、S&P500種指数は-23.2%と下落率は大きく抑えられているのです(1997年9月末から2013年9月末)。結果として、米国の代表的な指数であるS&P500種指数の約4倍の収益をあげているのです。
好成績の鍵は独自の本質的価値判断
ギャベリーの投資手法の特徴は、独自により算出した「本質的価値」よりも実際の株価が安いか、および市場が本質的価値に気づくのはいつか?が鍵になっています。ギャベリー独自の分析による本質的価値(プライベート・マーケット・バリュー)は、長期的に魅力ある事業か、画期的なモノやサービスか、価格支配力はあるのか等々の事業価値の評価および、保有する不動産、知的財産、貸借対照表に記載されない資産等の保有する資産の評価に加えて経営者の素質を評価することで、本来のあるべき株価=本質的価値を算出します。
その本質的価値に加えて、市場が本質的価値に気づくような「出来事」が発生するのはいつかをギャベリー独自の分析(キャピタリスト分析)により予測します。キャピタリスト分析は、経営陣の変更はいつか、自己株式取得の時期はいつか、業界再編が起こるのはついか等を指しています。
これらの運用手法で厳選されたバリュー株に投資することで、長期にわたり高いパフォーマンスを上げ続けているのです。やや古いですが、2013年9月末時点でギャベリーが魅力があると考える事業は、資本財、消費財、公共・サービス、金融・サービス、通信、健康・医療、資源などの7つの事業分野となっています。
設定来の騰落率は13.67%
ギャベリーの運用助言による米国割安株ファンドは、2014年3月19日から運用が開始され同年9月19日までの騰落率(税引前分配金再投資)は13.67%です。同期間のS&P500種指数の騰落率は8.04%ですから、良好な運用成績と言えるでしょう。2014年8月末現在のマンスリーレポートによれば、純資産総額は50.15億円。111銘柄が組み入れられており、組入上位10銘柄へ組入比率は18.94%に抑えられていることから、かなり分散投資が行われています。ヘルスケア機器・サービス14.0%、食品・飲料・タバコ11.75%、メディア11.23%が組入上位の業種となっています。
運用報告書が作成されていないことから、売買回転率はわかりません。また、マンスリーレポートも直近のものしか見られないため、組入上位銘柄などがどう変わったのかも検証できないことから、売買回転率を高めて収益を積み上げていくのか、じっくり保有して大きな果実を得るスタイルかは判断できませんが、独自の運用スタイル、その運用成績からして気になるファンドであることに変わりはありません。
購入時手数料は消費税を含み3.24%が上限、運用管理費用(信託報酬)が消費税込み1.8864%とやや高めですが、S&P500種指数を上回る良好な運用成績が確保できるならば、負担感はあまりないと言えるでしょう。ネックは取扱い金融機関がりそな銀行、埼玉りそな銀行、近畿大阪銀行しかないことです。
注目ファンドのひとつとして今後もチェックを行っていきたいと思います。