大切なことは占いより使いやすさ
Q:「羚」の字を使おうと思ったのですが、パソコンだと手書きでしか入力できませんし、携帯でも出てくるものとそうでないものもまちまちです。名づけをするときには、画数がよくてもこのような事にも気をつけたほうが良いのでしょうか?変換できない字は不便を覚悟で
変換できない字は100に1つくらいある
かつては常用漢字や人名用漢字が指定される際は、離れたクサカンムリがくっついたり、「示」がシメスヘンになったり、「柬」の部分は「東」になり、シンニュウの点は2つが1つになる、という原則がありました。そうすると同じ字種でも、いわゆる旧字体、新字体という字体の違いが生まれますが、名前では新字体を使えばいいわけです。ところが平成16年に488字の人名用漢字が追加された時、この原則が破られ、古い書き方の字、2点シンニュウの字などがそのまま指定されてしまいました。そのため活字に変換できない字も増え、現在、名前に使える2997字体の漢字のうち約1%が活字に変換できません。もし名前に使えば社会生活でかなり不便です。
「それはパソコンの機能の問題だ」という見方もあるでしょう。でもパソコンで変換できれば問題は起きないでしょうか。例えば逞、蓬、漣、煉などの字は、活字には変換できますが、「柬」を含んだり、2点シンニュウの字です。これらは常識と違う古い書き方でないと出生届も受理されず、正式な書類にも書けません。しかし他人はなかなかそんな字体では書いてくれず、社会生活ではどうしても混乱は起きてしまうのです。
名字にも存在しない漢字が使われる
たとえば「辻」の字も2点シンニュウのまま人名用漢字に指定されましたので、1点シンニュウの字は厳密には存在しないことになります。でも実際は辻のつく名字の人自身が1点のシンニュウで書くこともあります。また榊の字も、右側が神の字が書かれることもありますが、そういう字も正式には存在しません。さらに命名相談などでは、たとえば土井さん、土屋さんという名字の方が、「点のつく4画のつちです」と言われることもあります。名字というのは、ご本人がそう言えば誰も逆らえないのですが、存在しない字も書かれるわけです。そして字画占いに従って名づけをする場合は、名字の画数でつけられる名前の範囲もまったく違ってきますから、名字の字を確定しなければならないのです。