売れ行きダウンの原因は、急激な「価格上昇」!? 

初月契約率の推移

初月契約率の推移

アベノミクス以降、首都圏のマンション市場は初月契約率で8割前後を維持するほどの好調ぶりが続いた。つい前月(2014年7月)も、同83.7%とかなりの高水準だった。

にもかかわらず、突然の低迷はどういうことなのか。一過性の現象か、それとも市況はこのまま下降線を辿っていってしまうのか。

上のグラフは、2003年以降の「初月契約率と販売単価(平米当たり)」推移を示したもの。中央部の落ち込みがリーマンショックだ。このとき、直前に販売単価が大きく跳ね上がっているのがわかる。いわゆる「ミニバブル」と呼ばれた現象だ。急激な価格の上昇は消費者を置き去りにする。ちなみに先月の販売単価は77.5万円/平米。この数値は前年同月比で14.5%もの値上がり。今回の「突然の契約率ダウン」も価格動向と無縁ではなさそうだ。

販売戸数(2,110戸)半減

グラフ2:在庫と販売単価の相関

グラフ2:在庫と販売単価の相関

契約率もさることながら、「販売戸数の減少」も気になるところ。8月は夏休みも含まれるため業界も閑散期に当たるわけだが、それでも前年同月比で「49.1%減」は少なすぎるといわざるを得ない。

実際に売れた(契約)戸数で比べてみよう。2014年7月は販売戸数4,222戸、契約率83.7%。よって契約戸数は3,533戸。一方、同8月は同2,110戸、同69.6%で同1,468戸。契約済戸数は、およそ6割も減ったことになる。

単月での比較は、注目(大量集客)物件の多少や週単位でスケジュールが組まれる登録制によりカレンダーの影響を受けやすいため、一喜一憂は禁物。ただし、(とは言いつつも)これほどの差は珍しいといわざるを得ない。

「在庫の増減」に注目!?

これからマンションを買おうという人にとって、現状の分析は容易とはいえないだろう。政府は経済対策の柱として「住宅ローン控除」の限度額を前年の倍に引き上げ、昨年今年と効果的だった「贈与税の非課税特例」についても延長を検討。相続税の改正(2015年)が住宅市場に追い風を吹かせていることも事実だ。

しかしながら、諸々の策が非常に有効だったため「急激な地価上昇」という現象までをももたらし、そのために(ついに!?)需要が置き去りになったとするならば、何とも皮肉な結果である。

原則、「不動産の価格」は「需要と供給のバランス」によって相場が形成される。グラフ2を見れば、在庫の減少と価格の上昇の相関が見て取れる(もちろん分譲マンションの販売単価は供給立地によって上下するのだが)。在庫が上昇に転じれば、「上がり過ぎた価格」は戻るものと想定できる。が、すべては個別の立地次第。調整される場所もあれば、高止まりする場所もなかにはあるだろう。ピンポイントで判断しなければならないところが容易とは言えない所以だ。

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