このバランスが崩れたとに病になると考え、バランスを整えることで予防や治療を行います。そのために漢方薬や鍼灸、薬膳、運動などを複合、単体と個人個人に合わせて使い分けていきます。どこのアンバランスがあるのか知ることが東洋医学治療の第1歩です。アンバランスを知るには、東洋医学における病気の原因を知る必要があるのです。それでは東洋医学の病気の原因についてみていきましょう。
病気の原因は内と外にある
東洋医学で考える原因分類法は2種類あります。1つ目は外感と内傷という分類法、2つ目は内因・外因・不内外因という分類法です。大分類が違うだけなので、あまり気にせず進めたいと思いますが、1つ目の分類法は現代中医学で用いられ、2つ目は以前も登場した黄帝内経で使われている分類です。一覧表をご覧ください。東洋医学の原因は大きく分けるとこれだけです。少ない!という声が聞こえてきそうですが、この中にもっと細かな内容が含まれてきます。さらに私たちには体質があり、この体質が個人個人違うので、病気の原因(量や質)、体質も一緒に考えなくてはいけません。そのため、原因を追究するのに知識やテクニックが必要となります。また西洋医学のように血液検査やレントゲンなど数字や画像といった客観的なデータをみて病気を判断するわけでもありません。悩んでいる方の病気や痛いところなどポイントだけをみるのではなく、生活スタイル、性格までも把握しなければいけないので、本気で学ぼうと思うと大変です。
正気と邪気の攻防が始まる
まず、私たちのカラダの病気予防システムについてお話ししましょう。私たちのカラダには気血水という「正気」があります。この正気が私たちの生命活動を支えています。一方で「邪気」という悪い気もあります。一覧表にある「病因」が邪気となり、私たちのカラダを犯し始め、そして病を起こします。邪気に抵抗するために私たちの正気は戦い続けます。いつも勝てればよいのですが、あまりにも強い邪気には勝てないかもしれません。また邪気はあまり強くないにも関わらず、カラダが弱り、正気がない場合は邪気に負けてしまうこともあります。
たとえば、インフルエンザが学校で流行っているとき、教室で感染する子供と感染しない子供が存在します。これは同じインフルエンザウイルスのはずです。つまり、ウイルスが強すぎるのではなく、受ける側の子供の免疫力に差があるというわけです。言い換えれば、防御する正気が強いからインフルエンザにならなかったということです。
気候の変化でも病気になる!
六淫(ろくいん・りくいん)はまったく聞き覚えのない言葉ではないでしょうか。六淫こそ東洋医学が自然との一体にこだわる部分です。簡単に言うと外界の影響と思っていただければと思います。私たちの身の回りには、風、暑、湿、燥、火、寒といった自然界の気候があります。これを六気といい、何ら問題のない正常な気候です。この六気が、過剰になったり、不足したり、不相応な時期に出現すると私たちのカラダには負担として乗りかかります。では六気と六淫を比較しましょう。近年、温暖化など異常気象が騒がれています。ゲリラ豪雨、日照時間の減少、台風の進路など明らかに以前と変わってきたと実感している人も多いと思います。暑すぎる夏は、水不足が懸念され、農作物の収穫時期である秋への影響がでます。こうした変化が、自然界だけでなく、私たちのカラダにも影響を起こすといった負のサイクルが始まります。自然は偉大な存在です。その自然との協調を東洋医学では大切にしていきます。