気功とは

「気功」は、単なる体操でも呼吸法でもありません。中国で発達した心身修練の方法で、インドで発達したヨガと似たようなものだと思っていただいても良いかもしれません。

馬王堆漢墓第三号から出土した導引図の復元

馬王堆漢墓第三号から出土した導引図の復元


読んで字の如く「気」を「積み重ねる(功)」と書き、体内にある目には見えない「気」を集め、流し、排出を繰り返すことで健康維持と病に打ち勝つ力を求める方法です。もう少し具体的にいうと、「形・呼吸・意識の調節を通じて心身の健康を求める方法」となります。

東洋医学の一ジャンルとして存在しており、その位置付けは「養生医学」にあたります。特に、体内にある気を滞りなく運行させることがメインの目的です。体内の気を運行させるという意味では鍼灸と同じですが、人に施してもらうのではなくセルフで行うケアという点で、大きく異なります。

東洋医学における気功の位置付け

東洋医学における気功の位置付け


私たちは鍼灸師として気の概念をある程度理解しているつもりですが、普段から接していないとなかなか理解が難しいものです。まずはイメージで構いませんので、自分自身に大いなる「気」があふれていることを想像してください。

気功の基礎

気功の大原則は「放鬆(ほうしょう)」と「入静(にゅうせい)」です。簡単にいうと、前者はカラダをリラックスすること、後者は頭をリラックスすることです。

放鬆

放鬆

放鬆は経絡(気血が流れている川のようなもの)の流れを改善して、気血の流れを良くし、脳に必要のない刺激を取り除くことを目的とします。


 
入静

入静

入静は無を作るようなイメージです。頭の中を空っぽに、何も考えないという作業です。眠ってはいけません!

放鬆とは真逆なイメージだと思いますがこんな言葉があります。
  • 「静は動かぬことにあらず、まさに生き生きとして止まない動きである」
実際に飛んだりはねたりしなくても、体内は動いているわけですから。過剰なストレスを加えることで動きが滞ることは周知のことだと思います。

さて放鬆と入静のイメージができたところで、この2つを達成するにはどうしたらいいのでしょうか?そのために「三調」があります。三調とは、「調身」・「調息」・「調心」を指します。気功はイメージが重要ですから、それぞれをしっかり理解する必要があります。

三調

「調身」・「調息」・「調心」の三調の目的を理解しておきましょう


実践編を見ていただければ、そんなに難しくない!と思うかもしれません。では実際、セルフで行うには具体的にどうするのかをご紹介します。

気功の実践

カラダを動かしたいという人も、カラダを動かしたくないという人もいると思いますので、簡単な2パターンをご紹介します(※とはいえ、そこまでハードな動きではありません。気功の種類によってはしっかり動くものもあります)。

■A.動きありバージョン
  1. 足を肩幅に開き、ひざをわずかに曲げ、尾骨をたらし、腰をゆるめ、肩が緊張せず、頭のてっぺんが上から吊るされたような姿勢をとる(吊頂式)
     
  2. 手のひらを胸の前で向かい合わせて、間を1cm空けて合掌する。手のひらに集中し、ただゆっくりと自然に呼吸をする
     
  3. しばらく合掌して変化を感じたら、息を吸いながら、手のひらの間の隙間にボールが作られ、膨らむようなイメージで両手を離していく。息を吐きながら大きくなったボールを小さく圧縮するように手のひらを寄せて、間を1cm空けて合掌の姿勢に戻る(開合呼吸):10回

  4. おなかの前でバレーボールぐらいの大きさをイメージし、両手で抱き、下から支えるように上向けにボールを胸まで上げ、浮いたボールを押さえ込むように下ろす(昇降呼吸):10回

  5. 左右の手背と手のひらを合わせ、手の中心にある労宮をイメージし、合わせ胸の谷間(だん中)へ運び、手、胸が温かく、氷が解けるような感覚になるまで行う。おへそ(神闕)も同様に温かく、氷が解けるような感覚になるまで行う(男性は左手が下、女性は右手が下に手を合わせるという考え方がある)

動きありバージョン

A. 動きありバージョン


■B.動かないバージョン
  1. 静かで落ち着ける部屋で、空気がよどまないように、座るところはデコボコしておらず、カラダへの締め付けのないような衣服にする
     
  2. 姿勢を正すため、できる人は盤座(左足を右足の上に置き、次いで右足を左足に乗せる)、できなければ、片方の足のみでも構わない(座椅子等の背もたれは眠くなるので使わない)
     
  3. 呼吸を細く、長く、コンスタントに行い、慣れてきたら1呼吸を長く行う。呼吸が安定するまで行い、最終目標は1分間で1呼吸である
     
  4. 次いで少し短い呼吸で、吐くとき鼻からだけでなく、全身の毛穴から邪気や病邪を出すイメージで行い、吸うとき全身の毛穴から新鮮な気が入り、丹田(下腹)に至るイメージで行う
     
  5. 最後に自分の意識の中のリアリティというものを「引き出しのなか」にしまいこむために雑念を消す。初めのうちは鼻先やへそを見て集中する。意識をある一点に集中することで雑念を防ぐことができる。イメージとして歩いているときは歩いていることだけ考え、食べるときは食べることだけ考え、その他の雑念を意識から取り去るということ

実際に気功をやっていくうちに、これで良いのかと疑問を抱く方も多いかと思います。お近くの気功教室に通っていただくのもひとつかと思いますが、気功には流派も多く、そして宗教的な側面を持つところも少なくありません。まずは形と呼吸をご自身で始めてみてはいかがでしょうか?

気功とはあくまでセルフケアの一環であり、人に施してもらうものではありません。気の落ち着くところでお試しください。

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