保育園で昼寝がなくなっている!?
子どもは昼寝をしなくてもよいのでしょうか?
保育園でよくある光景と思われてきた昼寝が、最近は見られなくなりつつあります。平成21年に厚生労働省の保育所保育指針が改定されて、保育園で日課とされてきた昼寝が見直されたからです。
赤ちゃんは、眠ったり目覚めたりを短い時間で繰り返して、成長します。この眠り方を「多相睡眠」といいます。1歳ぐらいになると、夜にまとめて長い時間眠るようになりますが、昼寝もある程度の時間とります。
睡眠には個性があるので人それぞれですが、3歳ぐらいになると昼寝をしなくなる子どももいます。小学校に入ると、昼寝をする子どもはほとんどいなくなります。これは昼に眠くならないのではなく、友達で昼寝している子がいないとか、学校には昼寝をする場所がないことが原因です。
1日の眠気の変化から見ると、午後2~4時には眠気のピークが来ます。できればこのときに昼寝をすると良いのですが、社会的な制約から昼寝をしなくなっているのです。
保育園で昼寝をすると夜更かしになる
夜更かしの原因は、いろいろあります
保育園で1時間半ほど昼寝をした日と昼寝をしなかった日の、夜に寝つく時刻をくらべると、昼寝をした日が30分遅くなります。また、昼寝をしない幼稚園児に比べて、昼寝をする保育園児は、朝の寝不足感が強く、朝の機嫌も悪く、園への行きしぶりもよく見られます。
一般的に子どもの睡眠は、母親の睡眠に大きく影響されることが知られています。しかし、保育園児の母親と幼稚園児の母親をくらべても、夜に寝つく時刻に大きな違いなく、母親の眠る時刻とその子どもの眠る時刻とのあいだにも、あまり関係がありませんでした。つまり、昼寝をする保育園児の夜更かしの原因は、昼寝にあるとされたのです。
これらのことから、昼寝にはメリットもあるけれどデメリットもあるということで、保育指針から日課としての昼寝がなくなりました。
昼寝が必要な子どもを救え!
必要の子に必要なだけ、昼寝をとらせてください
大事なのは、睡眠はとても個性的だということです。3才の子どもの4割は昼寝をしませんが、6割はまだ昼寝を必要としています。4才になると昼寝をしない子どもの割合が半分を超えますが、それでも約3割の子どもは昼寝をします。
つまり、保育指針を変えた意味は、「子どもたち全員に、同じ時間だけ昼寝をさせることは良くないので、それぞれの子どもにあった昼寝のとり方に変えましょう」ということです。
昼食後に眠気を訴える子どもには、昼寝をさせてあげてください。子どもが眠くないと言っても、ボーっとしていたり活動性が落ちていたり、ふらついたり機嫌が悪かったり、集中力や意欲が落ちたりしていたら、昼寝が必要というサインです。
5歳ぐらいまでなら、1時間~1時間半の昼寝をとらせましょう。ただし、遅い時刻まで眠っていると夜の睡眠に悪影響が出ますから、午後3~4時までには起こしてください。就学前になったら入学後の準備として、昼寝の時間を短くしていってあげてください。もちろん1日トータルの睡眠時間が短くならないように、夜に寝つく時刻を早くしなければなりません。
多くの子どもには昼寝が必要
子どもたちの睡眠時間は、1時間足りていません。
先に紹介した研究では、1時間半昼寝した子どもは昼寝しない子どもに比べて、30分遅く寝ついていました。つまり、夜の睡眠だけでは、毎日1時間ずつ睡眠が足りていないということです。ですから、小さな子どもたちには、平均1時間の昼寝が必要なのです。
これらのことから、小学校へ入学するまでの子どもたちには、毎日午後に1時間~1時間半の昼寝タイムを設けて、眠れる環境を提供することが大切です。しばらくしても眠れない子どもや、途中で目覚めた子どもは、静かに別の部屋へ行って遊ばせましょう。
また、よく眠っている子どもでも、午後3~4時には起こしてあげてください。寝起きが悪ければ、寒冷刺激を与えたり、明るい場所でおやつを食べたり、軽い運動をしたりするとだんだん目が覚めてきます。
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