不動産売買の法律・制度/不動産売買関連情報

街中に貼られた不動産広告のチラシ、信じていい?

街中を歩いていると、道路上の電柱に貼ってあったり、駐車用のコーンに貼ってあったりする、不動産広告を見かけます。あれを信じて、問い合わせをしても大丈夫でしょうか?

山本 久美子

執筆者:山本 久美子

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街中でこんな不動産広告見かけたことありませんか?

捨て看板の例

屋外でこんな不動産広告見かけませんか?


ガイドが繁華街を歩いていたら、横断歩道を渡ったところで駐車場などで使われるコーンに貼り付けた不動産広告にぶつかりました。自宅の近所でも、道路上に同じようなものがありました。
こうした広告は、以前はよく道路に立つ電柱に貼られていたものです。より目立つようにということなのでしょう。

こうした道路上に置かれた不動産広告を信じて、問い合わせても大丈夫なのでしょうか?

まず、こうした不動産広告の大半は、無許可で貼られているものです。自治体の多くが屋外広告物に関する禁止条例を設けていますので、こうした条例などに違反する可能性が高いです。

屋外広告物の違反が多い東京都では、毎年「捨て看板等の共同除却キャンペーン」を実施しています。2017年も9月1日~10月31日まで、指定地区の道路の電柱などに貼られた屋外広告物を除却する活動をしました。今回のキャンペーンで3281枚、2016年では2796枚を除却していますが、そのうち不動産業のものは約9割(2017年87.4%、2016年88.8%)も占めています。いかに不動産に関する違反な屋外広告物が多いかがわかります。

なお、こうした不動産広告を「捨て看板」と呼んでいます。貼り付けたまま回収する予定がなく、捨ておく看板だからです。

「捨て看板」の内容は信用できる?

次に、そこに書いている内容を見てみましょう。
下の画像は、電柱の捨て看板の例です。
屋外チラシの例

屋外に貼り付けられた不動産広告のチラシの例

よく見てください。そこには、「断然安い」「大幅最終値下げ」「早い者勝ち」などバーゲンセールのような言葉が躍っています。いずれも不動産広告の表示として禁止されている文言です。

3580万円を2345万円に価格改定したといった、二重価格表示も禁止されています。

もちろん、不動産広告として記載しなければならない定められた情報が欠けています。物件のよいところだけを取り上げて、本来は書かなければならないデメリット情報を隠していると考えられます。

会社名と宅建免許番号が記載されていないものが多いのも特徴です。連絡先が携帯番号ということもあります。

さらには、電話番号を通知するように、何度かかけ直せと、敢えて客を取りこぼさない注意書きを加える念の入れようです。怪しい匂いがプンプンします。

ここまで悪質な不動産広告も珍しいですが、屋外広告のほとんどは、広告の出し方も広告の表示内容も、ルールを守っていないものが多いので、法律に遵守した取引が行われる可能性も低いということになるでしょう。

なぜ「捨て看板」で広告するの?

一部の不動産会社がこうした捨て看板を利用するのは、コストが安いからです。

新聞の折り込みチラシは、数多く折り込む必要があってコストもかかりますが、必ず見てもらえるとは限りません。住宅情報誌や情報サイトに掲載するのにも、広告掲載料がかかります。これらに比べると、撤去されるまでという制約はありますが、確実に地元の住人の目に入りますから、コストパフォーマンスがよいというわけです。

普通に考えれば、かなり怪しい広告だと思うのでしょうが、真剣に物件を探している人にとっては魅力的な物件と映るので、ついつい詳しい情報だけでも聞いてみたいと、電話をかけてしまうようです。

その結果、しつこく勧誘を受けるという事態にもなりかねませんので、安易に連絡しないようにしましょう。

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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