- 道を行い、善を積むことを楽しむ
- 病にかかることの無い健康な生活を快く楽しむ
- 長寿を楽しむ
と現代にも通用するフレーズを説いています。
また「からだは毎日、少しずつ動かすものであり、長く座ってばかりでだめである」「毎日食後には、家の周りなど数百歩歩くこと」「雨の日だったら、室内でいいので、ゆっくり歩き回るとよい」と、具体的なアドバイスも、きっちりとしています。
これらのことから分かるように、単なるブームとしての健康意識の高まりは、何も今に限ったことではないようです。
ところが、最近の健康ブームは昔とは様相がかなり違ってきています。まず、科学的なアプローチが健康についても行われた結果、健康を維持するいろいろなメカニズムが細胞レベルから分かってきたことが挙げられます。
健康になるための仕組みを知ることは、未来へと続く家族のいとなみへのキーエッセンス
たとえば、適度な運動が健康に良いことは誰もが知っていることですが、実はそのメカニズムは案外詳しく分かっていなかったのです。最近になって、運動直後に筋肉から作られる「マイオカイン」(成長ホルモンのような効果を持つ賢いサイトカイン)が、脂肪組織の細胞に作用して脂肪を分解し、また炎症抑制や血管新生に作用し、健康増強効果に関わっていることが明らかになってきています。
また、誰もが恐れる「ガン」も、血液一滴で検診が終了するかもしれません。2014年6月、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、乳がんや大腸がんなどの13種類のがんを、1回の採血で発見できる次世代診断システムの開発プロジェクトに着手したと発表しました。その大きな特徴は、血液中のマイクロRNAを分析してガン検診につなげるというところです。
普通の細胞はガン化することでガン細胞となるわけですが、その変化に直接絡んでいるらしい物質(マイクロRNA)を調べようとしています。このマイクロRNAの様子が詳しくわかると、「ガンになりかけていますよ」とか、「このままだとガンになりそうなので、こういう風に生活習慣を変えるとリスクが下がるかもしれませんよ」みたいな具体的なリスク管理ができるようになるかもしれません。
このように体の状態や不調の予兆などが科学的な検査でわかり、かつその影響や改善方法を具体的に知ることができれば、私たちは「不安」や「おびえ」から開放されるでしょう。もともと、人間はよくわからない、理解できないものに対して「おそれ」や「不安」を感じるようです。
- 「幽霊の正体見たり枯れ尾花」
(幽霊だと思って見ていたものを、よく見てみると、それは、ただの、枯れたススキの穂であった)
新しく発見される健康メカニズムを実際に応用することで、より様々な健康維持プログラムが出来上がると考えられます(待ち遠しい!)。
■参考文献
サルコペニアにおける骨格筋ミトコンドリア機能と Myokine の意義,日本老年医学会雑誌 49巻 2 号(2012:3)
乳がんや大腸がんを1回の採血で発見―マイクロRNAに着目した診断技術を開発へ―
2014年6月11日独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構