はじめに
誰しも自分の体験を知らせたいと言う気持ちはあるのではないでしょうか。ブログやツイッターの普及はそのあらわれでしょう。私も同じような気持ちでAll Aboutのガイドをしています。行政書士の業務で学んだことを小説にしようと思い懸賞小説に出しました。さてその結果やいかに。行政書士業務と小説の親和性
行政書士は、他人の人生の岐路や大きな人生の転機に関与します。例えば、離婚や相続です。ただ、行政書士は紛争に関与できませんので、当事者が相争うところを目の当たりにはしません。紛争を経てされた合意を書面にすることが仕事です。言わば、停戦協定や講和条約を書面化するようなものです。激しい感情のやりとりがあったことがうかがえる離婚協議書や長年のわだかまりやしこりが垣間見える遺産分割協議書を作成すると、夫婦ってなんだろうか、家族とはなんだろうか、ひいては人間とはなんだろうかと思うことがあります。
これらは小説で扱うテーマですから、行政書士業務というのは、本来、小説と親和性が高いのかもしれません。
小説を書いた動機
行政書士は「個性で売る」部分があります。ですから、小説を書くというのもひとつの方法です。実際、行政書士の書いた小説はいくつか店頭に並んでいます。私の場合、親戚に小説家がいて小説に興味がありました。そして、天災をきっかけに小説を書くようになりました。そのはじめて書いた小説が地方文学賞の最終選考まで残りました。気をよくした私は、行政書士業務で学んだことを小説に書こうと思ったのです。
立ちはだかる行政書士を舞台としたあの漫画・ドラマ
いざ行政書士の小説を書こうと思うと大きな問題に直面しました。学術論文も小説も「二番煎じ」は評価されません。同じテーマを扱うのであれば、画期的な視点の違いなど、先行作品を凌駕しないといけません。行政書士業務は広範囲なため、小説の題材になるような面白い業務があります。
もちろんですが、あの作品を否定しているわけではありません。フィクションとしてあれほど面白おかしく行政書士を描いた作品を、現実の行政書士業務を描く小説で上回ることは不可能だと思いました。そこで、行政書士で学んだことを、行政書士を登場させないで描くしかないと思ったのです。