産後の基礎知識/産後のトラブル・悩み

産後のイライラ軽減のためにまずできる小さなこと(2ページ目)

出産後、赤ちゃんのお世話に追われる中で、イライラしたり落ち込んだりする気持ちは、産後の女性が多かれ少なかれ味わうもので、1人目の赤ちゃんの時に限ったことではありません。産後の生活リズムを整え、自分を少し客観的に見るために、まず日常生活の中でできることを考えてみたいと思います。

執筆者:千葉 美奈子

目の前のことを確実にこなしながら長いスパンの視点も大事に

目の前のことをこなす中で、少しまとまった期間の中でやってみたいことや、こんなふうにすごしていきたいという目標を考えてみることは、自分を客観的に見つめるきっかけにもなります。

■確実にできそうなことや、これだけはと願うことを目標に設定する

赤ちゃんのお世話中心の生活の中でも、何か目標を立ててみることもおすすめします。赤ちゃんに関することだったり、自分の好きなことだったり、生活面のことだったり、なるべくハードルを高くしない、漠然としたものでもよいと思います。

育児日記

手書きの育児日記も貴重な記録に

例えば「3ヵ月までは育児日記を続ける」「赤ちゃん誕生後たくさん撮った写真を、何らかの形で整理する」、手作りが好きな方だったら、疲れをためない程度の作業を重ね、「赤ちゃんグッズを作る」など。自分がやりたいことであれば、疲れをためないペースで、「読みたい本を集中して読む」「育児が落ち着いたら家族で出かけたい旅行をイメージし、プランを作ってみる」などの作業も楽しいかもしれません。

もっと日々の生活の根本になる、「自分が体調を崩さないよう気を付ける」「物事を深く考えないようにする」など、生活面や気持ちの持ち方で目標を持つことも、過ごし方に張りを出してくれます。何かを意識しながら過ごしているうちに、いつの間にかその目標はクリアされ、新たな目標を探している自分に気づくこともできるでしょう。

■小さなことでもTODOリストを作る
このように目標を設定しても、何か「結果が出る」という性格のものではない作業の繰り返しに、焦りのような気持ちを感じることもあるかもしれません。そんなときは、すぐに結果が出ないこと、形に残らず流れていく作業を、あえて視覚化し、潰していく作業も有効です。今日必ずやりたいことを、家事も含めて書き出してみましょう。膨大に思えたことが整理され、優先順位が見えてきます。忙しい中で自分ができていることの多さを視覚化できると、気持ちも上向きになります。

赤ちゃんのいない生活の中では、このような作業をしなくても当たり前のようにできていたことの数々。それだけ、24時間お世話が必要な小さな家族が仲間入りするということは、大きな生活の変化をもたらすのですよね。

それでも、産後3ヵ月もたつと、母体の回復も随分進み、赤ちゃんの表情や反応もぐんと増えてきて、少しずつ自分に「余裕」が生まれ始めていることも感じられるようになってきます。新生児のお世話に明け暮れている頃には、その時期がいつ来るのか全くイメージできない気持ちに陥ることもあると思いますが、その時期は、ある日突然やってくることもあります。やるべきこと、やりたいことを1つ1つ潰していく作業は、その時期に向けたリハビリのような作業でもあります。

目の前のことを確実にこなしながら長いスパンの視点も大事にするという作業は、子育てや家族運営に欠かせないもので、そんな繰り返しが、家族のあり方や働き方の柔軟性を広げてくれる部分も少なくありません。これは産後に限らず、例えば夫の転勤による引っ越しなど、生活環境の大きな変化を迎えた時にも、揺れ動いている心を安定させていくのに役立つでしょう。

「イクメン」「家事育児分担」のイメージにとらわれすぎずに……

ここまでずっと、産後の母親の生活や気持ちの部分について書いてきました。育児や家事は夫も分担して出産でダメージを受けている妻のサポートをするべきなのに、と感じた方もいらっしゃると思います。

本当に、赤ちゃんという新しい家族のお世話は、夫婦で分担していくべきだと私は感じますし、家事に関しても、共働きか否かということにとらわれ過ぎずに、その時にできる方が自然に取り組めれば、それが理想の状況だとも思います。夫婦の家事育児分担や、それができる仕事環境は、社会で取り組んでいくべき重要なテーマです。

一方で、夫もそうしたいと思っているけれど、どうしても、仕事の状況や勤務体系から、それが難しい状況にいるという方が多いのも現実です。その状況は、夫である男性1人で変えられるものではありません。家事育児分担を赤ちゃんの誕生前から話し合っていた夫婦の場合でさえも、思うように分担ができないこともあると思います。「イクメン」のイメージにとらわれすぎてしまうと、他のお父さんたちはみんな頑張っているように見えるのに我が家は……という気持ちが、イライラ感を生み出す恐れもあります。

ハイハイする赤ちゃん

赤ちゃんも、小さな一歩を前へ前へ確実に

例えばイクメンといっても、形は様々。産後の怒涛の育児期から家事育児分担の体制がしっかり築けるのが理想的かもしれませんが、数ヵ月、数年かけて、それぞれの夫婦なりの分担体制を築き上げていくケースの方が多いのではないでしょうか。大変である今現在の分担体制ももちろん重要ですが、それが今うまくできないからと落ち込まず、1年後、3年後、5年後に振り返った時に、家族の生活を協力して運営している姿をイメージし、復職や再就職などについても、少しずつ会話を重ねていけるといいですね。

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