中国で使われている鍼や灸、漢方薬に違いあり!
そもそも東洋医学の原点は中国で、現在では一つの国となっていますが、昔は大小さまざまな国の集まりでした。あまりにも広大な土地ゆえ、風土が異なり、気温・衣服・食材・食事・病気・治療法が異なっていました。各地域で独特の発展を遂げ、中華人民共和国成立1949年以降、その情報を集約、統一されたものが現在の中国伝統医学(中医学)です。また、東洋医学には中医学をはじめ、韓方医学・漢方医学・アーユルベーダ・ユナニなど各国の伝統医学が含まれています。年月をかけてその地域に根付いた医学であるため、同じようなことをしているのですが、使っている道具に違いがあってもおかしくはありません。もちろん、考え方だって自然環境の違いなどによって独特なものであっても不思議ではありません。
東方の域は魚塩の地、海浜傍水、その民は魚を食し、塩辛いものを嗜む。魚は体内に熱を発生させ、塩は血を勝らしむ。故にその民の病はできものとなり、?石を用いる。西の域は・・・薬草を用いる。北の域は・・・灸を用いる。南の域は・・・鍼を用いる。中央の域は・・・あん摩を用いる(黄帝内経素問異方宜論篇)
中国では、鍼に関しては太めのものを使い、刺激量は多いように思えます。日本では髪の毛程度の太さのものが主流として利用されますが、中国では倍とまではいかないものの太い鍼を使います。灸に関しては熱量の多い「もぐさ」を使っています。
目的によって使い分ける鍼
ここ10年で生産技術が進み、鍼はより細く鋭く、シリコン加工をされ、痛みを感じにくく、抵抗なく体内に入るようになりました。お灸に関しても、やけどをせずに手軽に行えるような簡易的なものも作られるようになりました。
手軽に使えるお灸(カマヤ)
「良薬口に苦し」という言葉があるように、「苦いほうが効き目があるんじゃないか」、鍼や灸に関しても、「ある程度の痛みがないと効かないのではないか」と思っている方もいらっしゃいます。苦みや痛みはどちらが良いか悪いかという話ではなく、目的に応じて使い分ける必要があります。いずれにしろ、目的は飲みやすいとか、痛くないとかではなく、効くかどうかであるということは誰もが感じているところでしょう。
次のページでは、東洋医学の歴史を見ながら、考え方の違いをご紹介します。