2014年首都圏新築マンション供給戸数は46,000戸~48,000戸
今月4日、不動産経済研究所及び市場経済研究所は首都圏における新築マンション供給戸数は年初予測56000戸を46000~48000戸に下方修正すると発表した。「着工戸数の低迷、消費増税前の駆け込み需要の反動減、建築費上昇に伴う需要後退などがマイナス要因になった」という。決定的根拠は供給大手の見通しである。上位10社の合計が3万3,890戸。これは前年実績に比べ9.4%の減少。2013年実績1位の三井不動産レジデンシャルは前年比23.7%減、同2位三菱地所レジデンスは20.1%減。軒並み二ケタ減の計画が目立つ。上半期実績は2万戸に届かず。4万戸台はほぼ確実といえそうだ。
首都圏の供給戸数は2007年(61,021戸)を最後に5万戸を下回っている。2013年(56,478戸)6年ぶりの市場規模回復はアベノミクスの余波が大きい。通常なら1年~3年程度かかる1,000戸クラスの大規模プロジェクトが半年程で完売に至るなど供給前倒しが著しかった。
需給のバランスが崩れる!?
では、直近の売れ行きはどうなのか。7月度の初月契約率は83.7%と依然高水準である。好不調ラインを70%とするこのデータは2013年1月(69.2%)以来、一度もそれを下回らずに推移。増税(2014年4月)後の74.7%がこの間最も低い。つまり70%どころか、70%後半を常時維持し、80%を超えることが珍しくないほど好況が続いていると受け取ることができる。この度の消費増税における「後の反動減対策」においては前回(97年)と同じ轍を踏まぬようにと入念に施策が講じられた。「住宅ローン控除の拡充」を柱とし、「贈与税の非課税特例」、「住まい給付金」の創設などがその主なものだ。加えて相続税の基礎控除圧縮等の改正(2015年1月施行)に備え、不動産取得の需要は高まっているといわれている。新築分譲マンションも例外ではない。
気になるのは販売単価の上昇だ。2014年7月(平米あたり77.1万円)は特別上振れする要因(郊外の高額物件)があったとして、じりじりと上がっている。リーマンショックのプチバブル時で同70.1万円が最高値であることを踏まえると、1割近く値上がりしていることがわかる。もちろん販売物件のエリアにも左右されるがそれだけ需要が付いてきていると認識して良いだろう。分譲マンションの需要は「総じて旺盛」なのである。
品薄感がさらなる値上がりを招く!?
不動産の相場は需要と供給の相互関係によって成り立つところが大きい。とくに、マイホーム重要のみならず、投資需要、セカンドハウス需要をも吸収できる利便性の優れた物件はなおさらだ。昨今ではアジアを中心とする海外の買い手も加わり、競争は激しくなっていると思われる。品薄感による価格の上昇は、今のところ目に見えて実感するものではないが、すでに希少性のある立地ではこれまでの感覚からは随分割高な価格設定でも早期完売する例も散見できる。したがって都心部の好立地、人気エリアの好立地となれば、いつ跳ね上がってもおかしくないという気が日に日に増してしまう。
【関連サイト】
2014年10月販売予定の注目マンション