フェイク・ドキュメンタリー
ドキュメンタリー番組のようで実はフィクションというスタイルの作品は、「フェイク・ドキュメンタリー」あるいは「モキュメンタリー」と呼ばれています。この形式で日本で成功した作品というと、フジ系で2003~2006年に放送された『放送禁止』シリーズがあります。「ある事情で放送禁止となった取材映像を再編集し放送する」という設定で、最期にどんでん返しがありドキュメンタリーとして見ていた視聴者をかなり驚かせました。テレビで6作、劇場版が2作制作されたのでマイナーながらヒット作といっていいでしょう。今回の『俺たちに明日はある』に近い形では、TBS系月曜ゴールデン枠で2007年に放送された『和田アキ子殺人事件』があります。内容はタイトルのまんまで、和田アキ子が殺されたという設定で多数の芸能人が証言者として、また容疑者として出演するというドラマでした。
事実と思わせないと
今回の『俺たちに明日はある』の評価は賛否両論分かれています。ガイドの感想としてはまず前提となる「SMAP解散」というのにリアリティが低かったのが問題ではないかと思います。たしかに解散の噂は過去にもありました。しかしSMAP総合司会の27時間テレビをするのは「フジテレビはしばらくSMAPメインでいく」ということでしょうから、ここで解散はないだろうと思ってしまいます。全盛期のフジテレビなら力技で説得力を持たせることもできたでしょうけど、現在では難しい。
ドラマの結末で「SMAP解散」を発表するかも?と思わせないと、単なるドキュメンタリー形式のドラマになってしまい、フェイク・ドキュメンタリーとしては成立しません。