投資生活30年の桐谷さんが教える!お宝&ガッカリ優待
桐谷さんのベスト銘柄とワースト銘柄を発表!
しかし、30年に渡る長い投資家生活のなかでは、山あり谷ありのさまざまな出来事を経験しています。そんな桐谷さんが、これまで保有した優待銘柄で一番だと太鼓判を押す“お宝優待”と、逆に、最悪のガッカリ経験となった銘柄を告白――!
利便性、オトク度でベスト1の「コロワイド」
「優待投資は20年前くらいから始めましたが、一番のお宝優待となると、コロワイド<7616>でしょうネ。いろんなところで紹介していますし、優待族ならほぼみんな持っている優待です。他のところは、大抵おつりのでない優待券をくれるのですが、ここはポイントカード式なので1円も無駄なく使えて私好み♪ 3カ月ごとに1万円分のポイントが入るので、年間で4万円もの食事がタダになるのも非常に嬉しいですよね。ここはいろんな業態の飲食店があるから、普段の食事からデート、飲み会など使えるシーンが多いのが魅力です。私はちょうど昨日、イタリアレストランの「ラ・パウザ」でパスタをいただきました。他にも、北海道や甘太郎という居酒屋もあるし、回転寿司や焼肉、カラオケやカフェもある。使い勝手は、間違いなくナンバー1だと思いますね。ちなみにこの前、優待仲間16名とコロワイド系列の居酒屋に行って、3000円の3時間の飲み放題コースを楽しんだのですが、会計はそれぞれ皆カードのポイントで払ってましたヨ。さらにコロワイドの優待が優れた点は、人に優待商品を贈ることができるということ。ポイントは優待商品と引き換えが可能ですが、通常、優待は名簿に記載された本人以外に送ることはできない。でもコロワイドは、送り先を株主以外に指定できるので、お中元や御歳暮として使うこともできるんです。私は昨年、お世話になったカンニングの竹山さんに優待でカニを送りました。商品もバラエティーに富んでます。例えば、今1万ポイントでもらえるのは、うなぎの蒲焼セットやステーキ3枚のセット、タラバガニのセットなど、なかなか豪華。5000円ポイントぐらいでも、高級肉のセットがありますし、3000円ポイントだと720mlの日本酒2本、2000ポイントだと、系列店であるステーキ宮の焼肉のたれセットなど、いろいろ選べて楽しいですヨ。
コロワイドは、優待ができてすぐの頃に買っているので、すでに10年以上のお付き合い。
当時は確か、500株で20万円位。20%近い利回りがありましたネ。でも、優待のメリットが世間に知られてくると同時に株価が上がって人気銘柄になり、優待利回りも下がってしまいました……。まあそれだけオトクな優待という証拠です。今は1300円あたり(500株で65万円)ですが、3年くらい前までは500円を切っていたんですヨ」
1000万円以上が紙くずに!ガッカリ優待は、あの有名企業――
しかし、いいことばかりはないのが、投資の世界――。30年間の投資家生活のなかには、こんな意気消沈なガッカリ体験も……。「一番ガッカリしたのは、日本航空…JALですネ。1000万円以上の損失を受けた優待株ですのでネ、ハイ。日本航空は、皆さんご存知のとおり2009年に倒産し、株が紙切れになってしまいました。JAL国内線の全路線が半額になるという非常に魅力的な優待でしたが、それもナシに。その後、政府がお金を投入して再上場し、現在また優待をやってますが、さすがに私は買う気になれず、株主になっておりません。ほかにも、北の家族や京樽、カステラのナガサキヤ、実は、ずっと前にあの吉野家も一度紙切れになってます。武富士なんかも450万円くらいが紙切れになりましたしネ。もちろんガッカリするし、悲しいけれど、株主責任だからしょうがない。株を長年やっていれば、こういうこともあります」
優待でも分散投資の大切さが身にしみた
桐谷さんがこれらの経験で学んだのは、やはり“分散投資”の大切さ。「1社に資金を投入していたらお先真っ暗になっちゃうけれど、分散投資をしていれば被害はだいぶ減らせる。さらに、なかにはガンホーのように100倍に暴騰するお化けのような銘柄が出てくることもあります。残念ながら、私は持っていませんでしたがネ…。株式の格言に“卵はひとつのカゴに入れるな”というものがあります。ひとつのカゴに卵を入れていると、落としたら全部割れちゃう。でも、カゴをいくつかに分けていれば、リスクは減らせます」
さまざまな経験をしてきたからこそ、今の桐谷さんの楽しい優待ライフがあるわけです。
★次は桐谷さんが今一番欲しい銘柄についてです!
桐谷 広人さんプロフィール
1949年広島県出身、将棋棋士・投資家。日本テレビ系のバラエティ番組『月曜から夜ふかし』で現金を使わず、株主優待のみで生活をする姿が話題になった。現在はテレビ、雑誌、書籍などで幅広く活躍し『桐谷さんの株主優待生活』など著書多数。
取材・文/西尾英子 撮影/松本英明