メガネ手当に背広手当……地方公務員のトンデモ手当は今もある?
国家公務員よりも給与水準の高い地方公務員。その理由のひとつが手当といわれています。かつては、メガネ手当(2年に1回、購入したメガネの半額が支給)や背広手当(背広の購入費として年間5万円程度支給)、元気回復手当(親睦会などの会食で1人5000円支給)などのトンデモ手当といわれるものもありましたが、現在はどうなっているのでしょうか? 総務省から発表された「令和3年地方公務員給与実態調査結果等の概要」の報告をもとに、地方公務員の手当事情についてご紹介しましょう。
マイホームを持っていても住宅手当
住宅手当といえば家賃を払っている人に支給されるもので、マイホーム所有者には無縁と思いがちですが、地方公務員の中にはマイホームにも住宅手当が出るところがあります。実は、国家公務員はマイホーム購入後5年以内だけ月2500円が支給されていたのですが、平成21年12月に廃止されました。地方自治体にも廃止の動きがあり、大阪市も平成25年に廃止しました。
令和3年4月1日時点で制度が残っている自治体は169団体で、全体の9.5%になります。前年より9団体減ったとはいえ、残っている自治体があります。都道府県ではゼロですが、指定都市では神戸市で支給されています。市町村では北海道の自治体が多く、北海道の178市町村中なんと105団体に、この制度が残っています。(令和2年4月1日時点)
支給月額は3000円から7000円程度で、マイホーム購入後5年以内だけ支給しているところが多いですが、5年を超えても支給されているところもあります。
特殊勤務手当として清掃作業手当
公務員の手当の中に特殊勤務手当があります。この特殊勤務手当は、著しく危険、不快、不健康又は困難な勤務その他の著しく特殊な勤務に就く場合に支給されるものです。国家公務員に支給されるものもありますが、国家公務員の手当にはないのに、地方公務員には規定されているものがありますよ。
例えば、清掃作業手当。千葉市ではごみの収集、運搬及び終末処理に従事した時、不快な業務に従事する職員の特殊勤務手当として日額500円が支給されます(令和3年4月1日時点)。
税務手当、用地交渉手当なども
他にも特殊勤務手当がありますよ。「税務手当」は税の調査、徴収業務に従事した場合に支給されるもので、福岡市の場合は業務内容によって月4000円から1万100円が支給されます(令和3年4月1日時点)。「用地交渉等現地折衝手当」は、都市整備事業等の企画及び施行のために地元住民の権利関係の調査などを行ったら支給されるもので、名古屋市の場合は日額400円を超えない範囲とされています(令和3年4月1日時点)。他にも「感染症予防作業手当」や「放射線取扱手当」などがあります。地域住民に密着した業務がある地方公務員ならではの手当もあります。
互助組合から結婚祝い金、入学祝金なども
直接の給料ではありませんが、職員互助組合からの手当も見ておきましょう。互助組合といっても、職員の掛け金だけでなく補助金が交付されているところが多くあり、支給される手当は間接的とはいえ自治体からの給付といえるでしょう。結婚した時には「結婚祝い金」、扶養親族の小中学校等の入学時、卒業時に「入学祝金」「卒業祝い金」などもあります。結婚して20年などの「結婚記念祝金」があるところも。ライフステージに応じてたくさんの祝い金が用意されています。
いかがでしたか? かつてほどトンデモ手当は残っていませんが、まだまだ地方公務員はたくさんの手当があることがわかりました。とはいっても、地方公務員は災害などの最前線で過酷な状態の中、働くこともあります。本当に必要な手当はしっかりと残してもらいたいものです。
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