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芦花公園、武蔵野の面影を残す、住むための街

新宿から17分、各駅停車だけしか止まらない街ながら京王線屈指の高級住宅街として知る人ぞ知る芦花公園。公園や生産緑地も点在する自然いっぱいの住環境と住宅の様子をご紹介しましょう。

中川 寛子

執筆者:中川 寛子

住みやすい街選び(首都圏)ガイド

足回りは便利だが、
生活の利便性は周辺駅利用でカバー?

駅は現在工事中。完成は2010年9月末予定。これで混雑が緩和されることを祈りたい

駅は現在工事中。完成は2010年9月末予定。これで混雑が緩和されることを祈りたい

京王線芦花公園は新宿から各駅停車利用で約17分。活気ある商店街で知られる千歳烏山のひとつ手前の駅です。千歳烏山~芦花公園間は電車の距離にしてわずか800m。さらに手前の八幡山~芦花公園もやはり700mほどで、駅近くは平坦な土地のため、自転車で3駅間を買い物に走り回る主婦も少なくないと聞きました。



甲州街道と環状八号が近い交通の要所。ただし、通り沿いはけっこううるさい

甲州街道と環状八号が近い交通の要所。ただし、通り沿いはけっこううるさい

また、電車で都心に近いだけでなく、京王線と平行して走る甲州街道、八幡山駅との間を南北に走る環状8号線も近いため、車の移動にも便利な立地です。京王井の頭線、中央線方面にはバスも出ています。



 

商店街は店そのものが小さいことに加え、千歳通りが狭いこともあって、全体にコンパクトに見える

商店街は店そのものが小さいことに加え、千歳通りが狭いこともあって、全体にコンパクトに見える

さて、芦花公園駅は駅舎が地下にあり、改札は線路を挟んで南北にあります。まず、北口、甲州街道のある側に降りると、甲州街道方面に向かって伸びているのが小さな店舗の並ぶ商店街。訪れたのが日曜日だったせいもあり、シャッターの下りている店が大半。ただ、これが平日だとしてもお世辞にも賑やかな商店街とは評しがたいところ。もちろん、日常のちょこっとした買い物であれば問題はありません。この商店街の裏側には飲食店が何軒か並んでいますが、こちらも飲食店街というほどの規模ではなく、やはり地元でちょこっとという雰囲気です。

甲州街道から少し入ったところの街並み。この周辺には物件を指定して買いたいという人がいるようなマンションも少なくない

甲州街道から少し入ったところの街並み。この周辺には物件を指定して買いたいという人がいるようなマンションも少なくない

商店街を抜けると旧甲州街道が走っており、そのさらに南の甲州街道との間、甲州街道の周辺にはここ何年かでマンションが増加。200戸、300戸という規模で、建物周辺に緑地、歩道などを設けた、環境、美観に配慮がある物件が多いのが特徴で、歩いていても気持ちの良い街並みになっています。




豆腐屋さん、肉屋さんに飲食店などが入る丸美ストアは、屋根のあるレトロな雰囲気の商店街

豆腐屋さん、肉屋さんに飲食店などが入る丸美ストアは、屋根のあるレトロな雰囲気の商店街

旧甲州街道沿いにはところどころに古い建物が残されており、アーケードのあるレトロな商店街も健在。入り口にはアメリカ人店主が営む行列のできるラーメン店もあり、この日もかなりの人が並んでいました。






千歳通りを挟んで左側は杉並区、右側は世田谷区。バスは中央線荻窪行き

千歳通りを挟んで左側は杉並区、右側は世田谷区。バスは中央線荻窪行き

ちなみに、ひとつ大事な点は駅から甲州街道に向かう千歳通り(反対側は芦花公園に向かう)の東側は世田谷区ではなく杉並区であること。2区の境になっているのです。当然自治体サービスなども異なりますから、このエリアでの住まい選びの際にはアドレスに注意が必要です。



芦花公園周辺の概念図
今回取り上げた芦花公園とその周辺の位置関係図。主要な道路以外は省略してある

今回取り上げた芦花公園とその周辺の位置関係図。主要な道路以外は省略してあるので念のため


再開発で生まれ変わった南口側には
芦花公園、世田谷文学館などが点在

広々としたロータリー。だがスーパー、コンビニに多少の店がある程度で全体としては郊外の街といった印象

広々としたロータリー。だがスーパー、コンビニに多少の店がある程度で全体としては郊外の街といった印象

南口側は再開発行われ、2008年には古い公団住宅が生まれ変わり、新しい街並みが登場しています。駅前にはロータリーが作られ、深夜1時まで営業のスーパーが入ったしゃれたマンションなどもできていますが、こちらも率直なところ、賑わっているという雰囲気は今ひとつ。全体に静かな街なのです。




広く取られた歩道、緑地の中にはベンチもあり、全体が公園のような趣の再開発エリア

広く取られた歩道、緑地の中にはベンチもあり、全体が公園のような趣のある再開発エリア

ロータリーから西側に広がるのは新しく作られた住宅エリア。駅前とは思えないほど緑が多く、こちらも閑静そのもの。敷地内には保育所もあります。このエリアを抜けると、共同住宅ではなく、一戸建てと小規模な賃貸物件中心の住宅街。あちこちの電柱に新築一戸建てのチラシを見ましたから、供給は少なからずあるようです。




世田谷文学館近くの千歳通り。さらに駅から遠ざかると歩道がなくなり、道幅も狭くなり、やや危険

世田谷文学館近くの千歳通り。さらに駅から遠ざかると歩道がなくなり、道幅も狭くなり、やや危険

駅から芦花公園へ向かう千歳通り沿いは一戸建てとマンション、畑などが混在していますが、目に付くのは大規模物件が多いこと。また、古い建物も目立ち、中には築30年、40年という物件も。早い時期から開発されてきた街というわけです。


 


ガラス張りのしゃれた外観の世田谷文学館。手前の門はかつて個人のお屋敷だったもので、現在老人ホームが建設中

ガラス張りのしゃれた外観の世田谷文学館。手前の門はかつて個人のお屋敷だったもので、現在老人ホームが建設中

千歳通り沿いには世田谷にゆかりの文学者の原稿、遺品などを集めた世田谷文学館があります。館内にはホールや図書館、喫茶室などがあり、文学好きには楽しい空間となっています。また、世田谷文学館手前から千歳通りは下り坂になっており、かつては千歳通りを横切る形で烏山川が流れていたことを伺わせます。




芦花公園に隣接するゴルフ練習場。都心では見られないような大型の施設だ

芦花公園に隣接するゴルフ練習場。都心では見られないような大型の施設だ

世田谷文学館の隣には大きなゴルフ練習場がありますが、緑のネットの張られたゴルフ練習場もこの辺りでは特徴的な風景のひとつ。芦花公園近く、八幡山駅近くにも同様にゴルフ練習場があるのですが、これはつまり、余剰の土地があるという意味。生産緑地が多く残されていることと合わせて考えると、宅地化は途上の街ともいえるわけです。



徳富蘆花旧宅の回りには彼が好んだという竹林などが広がり、とても新宿から20分ほどの場所にあるとは思えない

徳富蘆花旧宅の回りには彼が好んだという竹林などが広がり、とても新宿から20分ほどの場所にあるとは思えない

駅名の由来ともなった芦花公園(正式には蘆花恒春園)は駅から歩いて15分ほど。園内には明治時代の作家徳富蘆花の旧宅、庭が残されており、明治時代の、いかにも武蔵野といった風情を想起させてくれます。






子ども連れで賑わう芦花公園。遊具やアスレチックが出来る場所もあるので、ファミリーには楽しいスポットのひとつ

子ども連れで賑わう芦花公園。遊具やアスレチックが出来る場所もあるので、ファミリーには楽しいスポットのひとつ

敷地内には広い芝生の広場や多目的広場、ドッグランなどもあり、家族連れで大賑わい。小型犬だけでなく、大型犬を連れた家族も目につきました。桜や萩など季節を楽しめる樹木も多く、自然に親しむにはうってつけの場所でもあります。





最後に気になる京王線芦花公園周辺の住宅事情を見ていきましょう。
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