アメリカのハーマンミラー社のデザインディレクターとして知られているネルソンは、チャールズ・イームズ、レイ・イームズ夫妻やアレキサンダー・ジラード、イサム・ノグチらの優れた仕事を導いて、戦後のアメリカン・デザインの確立に大きく関わりました。
また、本展のサブタイトルが表すように、ネルソンには様々な顔がありました。 会場は、ヴィトラ・デザイン・ミュージアム所蔵の関連コレクションを中心に、家具やプロダクト、模型や映像など約300点で構成され、ネルソンの多面的な業績を紹介しています。
本展は、ドイツのヴィトラ・デザイン・ミュージアム(Vitra Design Museum)が企画する国際巡回展のアジア巡回の一環として、オーストラリア、香港に続き、国内では唯一、目黒区美術館のみの開催となっています。一部、日本で集めた資料も展示されています。この貴重な機会に、ぜひネルソンの世界をご体験ください。
月曜休館 ただし、9月15日(敬老の日)は開館し、翌日は休館
開館時間:10:00-18:00(入館は閉館30分前まで)
観覧料:一般 1000(800)円 大高生・65歳以上 800(600)円
小中生 無料
( )内は20名以上の団体料金、障がいのある方は半額、付添者1名無料
会場:目黒区美術館 東京都目黒区目黒2-4-36 Tel. 03-3714-1201
主催:(公財)目黒区芸術文化振興財団 目黒区美術館、読売新聞社、美術館連絡協議会
企画:ヴィトラ・デザイン・ミュージアム (the Vitra Design Museum, Germany)
特別協賛:ハーマンミラーインターナショナル アジア・パシフィック、ハーマンミラージャパン株式会社
協賛:ライオン、清水建設、大日本印刷、損保ジャパン・日本興亜損保、日本テレビ放送網、(有)共済企画センター、天童木工、マーベラス、サッポロビール
後援:アメリカ大使館
ジョージ・ネルソン 1965年頃
George Nelson, ca.1965 Photo: Vitra Design Museum Archiv
ジョージ・ネルソンの多面性を体験
会場は2階から始まります。エレベーターの前ではネルソンの代名詞とも言える『マシュマロソファ』が来館者を迎えます。メインとなるトップライトの高い天井の展示室には、ネルソンの手掛けた数多くの家具と、アメリカ情報庁(USIA)の依頼で、1959年にモスクワで開かれた「アメリカ博覧会」で手掛けたプロジェクトが展示されています。『マシュマロソファ』(1956年)。セルフスキニング・ポリウレタンフォームのクッションを大量生産して製作。
天井から吊るされた『バブルランプ』(1952年)の下にレイアウトされた、ネルソンの家具と「アメリカ博覧会」の展示システム。
1950~60年代にハーマンミラー社で手掛けた、様々なシリーズの椅子やキャビネットやテーブルが並ぶ。
上「アメリカ博覧会」用に開発された巨大なフレーム構造『ジャングルジム』(1959年)。階段を上がった先のモニターに当時の博覧会の様子が流れる。
下 スタジオで模型『ジャングルジム』の展示を検討するネルソン事務所のスタッフ達。奥は1/6の模型。
仮設展示場として開発された『アンブレラ』(1959年)。高さ6mのファイバーグラス製の傘をつなぎ合わせて出来る半透明の屋根の下を、展示場やファッションショーの会場にあてた。
上 『シャーマン・フェアチャイルド邸』(1952年)。京都の町屋のように間口が狭く奥行きが深い土地に建つ地上3階、地下1階の中庭付きの豪邸。※特別出品 東京理科大学岩岡竜夫研究室製作
下『エクスペリメンタルハウス』(1957年)
上 『エグゼクティブオフィスグループ(EOG)』と『モダンマネージメントグループ(MMG)』など。
下 ロバート・プロストが発案した『アクションオフィス(AO-1)』(1964年)。
ハワードミラー社の壁時計。1947年からネルソンとスタッフが手掛けたデザインは130種類にも及んだ。
教育に高い関心のあったネルソンは「教育は自分の使命」ととらえ、スライドを駆使した講演会を数多く行い、その成果は1970年代の著作『How to See(ものの見方)』で完成をみました。
また、ハーマンミラー社に代表される企業CI(企業イメージの統一化)の先駆けとなる仕事も手掛け、企業ブランドの確立に貢献しています。
ここには、ネルソンが20年にわたって追求してきた収納家具の集大成とも言える『コンプリヘンシブ・ストレージシステム(CSS)』も展示されています。
上 ネルソンの講演会のポスターと企業グラフィックが並ぶ。 下 「ペンキ塗り立て」「ゴミを捨てない」「禁煙」などの注意を促すピクトサイン『プロントポスター』(1964年)※中央の「WOMAN」以外は特別出品 リーズデザイン研究所
『コンプリヘンシブ・ストレージシステム(CSS)』(1957年)。柱間32インチ(約82cm)を基本単位にしていて、軽量化された柱でレイアウトを簡単に変更できる。
上 ネルソンのグラフィックとイメージを再構成したコーナー。 下 ネルソンの家具で寛げる休憩室。
関連イベント:特別講演会とトークセッション
本展の関連イベントとして、8月31日(日)に[ジョージ・ネルソンのベストデザインは「ジョージ・ネルソン」]と題して、1960年代のネルソン事務所に一時席をおいた内山陸平氏(京都工芸繊維大学名誉教授 リーズデザイン研究所主宰) による特別講演会が行われます。また、8月17日(日)には[住まいのデザインをめぐる冒険]、9月7日(日)には[ジョージ・ネルソン そのまなさしの現代性]と題して、トーク・セッションが行われます。
いずれも事前申込制で、講演会 14:00~15:30 トーク・セッション 14:00~16:00 会場は目黒区美術館内です。http://mmat.jp/