前回の記事までは、切手を郵便という側面から楽しめるスポットやイベントを紹介してきました。今回は印刷製品としての切手を深掘りした博物館「お札と切手の博物館」を取り上げたいと思います。
お札と切手の博物館

お札と切手の博物館の入口はこちら。なんとなくシックでお堅いイメージです。

「お札と切手の博物館」について

お札と切手の博物館」は1971年、東京・市ヶ谷に開館した専門博物館で、もともと大蔵省印刷局の施設でした。明治4(1871)年に政府印刷事業が始まり、ちょうど100年を迎えたことから設置されたもので、切手収集家であれば、傑作として名高い「政府印刷事業百年」の記念切手2種を思い出す方も多いでしょう。
政府印刷

政府印刷100年記念(1971年・参考価格:50円)。発行当時、非常に美しい切手として人気が高かった。

市ヶ谷の博物館は民主党政権の「事業仕分け」で2010年に閉鎖されてしまいました。現在の「お札と切手の博物館」は2011年に国立印刷局王子工場に併設するかたちでリニューアルオープンしたもので、王子駅北口から徒歩2分のところにあります。
国立印刷局王子工場

国立印刷局王子工場の入口。奥のほうでは国旗が掲揚されている。

グラビア印刷の世界に触れよう!

いきなりグラビア(!)といえば、華やかなグラビアアイドルを想像するかもしれません。実はグラビアという言葉自体はれっきとした印刷用語で、写真の再現性に優れた印刷手法ということもあり、セクシーな女性タレントを表す言葉に転用されたのです。
年賀シート2014年

2014年の年賀小型シート(参考価格:200円)。これもグラビア印刷で製造されている。

グラビア印刷の原理は、銅メッキした円柱状の版に非常に細かな凹凸をつけ、凹んだ部分(セル)にインクを充填して印刷する技術でして・・・などと論じても良いのですが、詳しくは博物館の展示に譲りたいと思います。まずはグラビア印刷は無数のインクの点で表現する印刷技術という点だけを押さえていただければ充分です。
年賀小型シートの拡大

年賀小型シートを拡大したところ。ルーペで見ると、点の様子が観察できる。

「お札と切手の博物館」では、トイレットペーパーのような特殊なロール紙をグラビア印刷機にかけ、ギザギザの目打を入れるまでの工程をいくつかの模型で示しています。ふだん何気なく使っている切手がこんなに複雑な工程で印刷されているということがわかると、ちょっと切手への見方も変わることでしょう。
グラビア切手

グラビア印刷の展示コーナー。最新鋭の印刷技術に触れることができる。

次のページでは、この博物館のもう1つのテーマである「お札」のディープな世界を紹介していきたいと思います!