浮いた座面は、軽やかデザインディテールの妙業
座面とそれを支える横貫と接合部が、ニクい!
座面が横貫とふれないようカーブさせ、座面を持ち上げる形状となっている。また、後脚と切り離し、独立した座面としている。
おのずと座面が浮いて見える、軽やかさのディテールがここにもある。
座面生地の張り替えなどのメンテナンスが可能なように、横貫と座面は金具で固定している。
横貫の上下に織りなす曲線と直線の妙業は、まるでワルツでも奏でているようだ。
貫の内側には、メーカーの「Carl Hansen& Son」とデザイナー「Hans J Wegner」、そして製造番号を刻印したプレート、いわば、椅子の名札が、ここにある。
直にお尻を支える座面は、緩やかな流線でまとめている。ふくよかなお尻ようで、いかにも座り心地の良さそうなライン。
先端部はクっと下部にカーブし、座った時の膝裏の当たりに配慮した形状となっている。
座面は、背板同様、成型積層合板にクッションを貼り、それを革(布のタイプもある)でくるんで、裏面で止めている。革の端部を合板の溝にいれ、その上から革を固定するよう革紐をはめ込んいる。通常座面の裏側だから見えないが、見えない部分も丁寧に納めているから、全体が美しい。
正面からの見える貫、座面、背板の各々の曲線リズムとそれらを錐形にまとめる脚との対比が、椅子全体の軽やかに造形している。