日本最長の直線を誇る、新潟競馬場をご覧あれ
8月の競馬を語るうえで、忘れてはいけないのが新潟競馬場。毎週さまざまなレースが行われますが、見どころは何といっても「日本最長」を誇る芝コースの長い直線。最終コーナーは「内回り」と「外回り」の二つがあり、レースごとに使い分けられるのですが、外回りにおける直線は658.7m。2位の東京競馬場で525.9mと100m以上の差があることからも、そのすごさが分かるでしょう。となると、新潟競馬場のレースの見どころは、やはりその長い直線での攻防。はるか向こうから直線を駆け抜けていく姿は興奮間違いなし。なお私は、新潟競馬場の直線を「まるで滑走路のよう」と、誰にも共感を得られない表現をしています。つまり、遠くからじわじわ加速して「ヒューーウィーーンッッ」と駆け抜けていくさまが、飛行機の離陸する瞬間のようなのです。ひどいクオリティの説明ですね……。
もちろんこれだけ直線が長いと、その部分でいかに高いパフォーマンスを発揮できるかが勝敗のカギ。いわば最後の直線でのロングスパートが極めて重要になる舞台となります。
その新潟で行われるのが、G3新潟2歳ステークス(芝1600m、新潟競馬場)。デビューしたばかりの2歳馬たちが重賞タイトルを争う一戦ですが、2013年のこのレースでは、まさに長い直線の申し子といえる馬が圧巻のレースを見せました。翌年のG1桜花賞(芝1600m、阪神競馬場)を制するハープスターです。
2013新潟2歳ステークスのレース映像(ハープスターはピンク帽の17番)
最終コーナーを回った時点では、大きく離れた最後方。しかし最後の直線だけで、他馬は置き去りにされていました。ゴール直後、私は気温が2度くらい下がったかのように感じましたね。つまりは寒気さえ感じさせるレースぶり。もちろんハープスターの能力がなければこんなド派手な競馬は見られませんが、それをおぜん立てしたのは、間違いなく新潟競馬場の長い直線だったといえるでしょう。
1000mの直線を、真一文字に突き進む
「アイビスサマーダッシュ」
日本最長を誇る新潟芝コースの直線。そしてこのコースでは、長い直線を生かした「直線だけのレース」が日本で唯一行われます。それが芝1000mの戦い。先ほど説明した600mという直線距離は、外回りの最終コーナーからゴールまでの長さ。しかし新潟の直線は、実はそのコーナーからさらに奥へと続いており、総距離は1000mにまで及びます。その直線を使って、芝の直線1000mのレースが組まれているのです。
ヨーロッパではよく直線だけの競馬があります(2000mの直線コースもあるほど!)が、日本では新潟の芝1000mのみ。そして8月には、この舞台における唯一の重賞レース、G3アイビスサマーダッシュ(芝1000m、新潟競馬場)が行われます。
カーブがなく、レースも50秒台で決着する大迫力の直線競馬。はるか彼方から各馬が一直線にゴールに向かう姿は勇ましく、まさに「まばたき出来ないレース」です。
2013アイビスサマーダッシュのレース映像
なお、どの馬も全体的にアウトコースへ寄るのは、そちらの方が芝の状態が良く走りやすいため。コーナーを使う普通のレースでは、外に寄る分ロスになるため、基本はインコースを走るもの。多数の馬が走るうちに、コース内側の芝は掘れたり傷んだりしているケースが多いのです。
一方、直線競馬ではカーブがないため、コースロスを気にせず、芝の状態が良い外へと進路を取れます。ファン目線で言うと、あれほど観客席の近くを馬が走るレースを見られるのは貴重。間近で大迫力のレースを味わえるのも、この直線競馬の魅力といえるでしょう。
秋に向けて重要なレース、そして日本最長の直線での攻防など、暑さに負けない白熱のレースが多数用意されている8月。ぜひとも多くの方に夏競馬を楽しんで頂ければと思います。
※レースの情報は、すべて2014年7月末時点のものです。
(リンク)
8月のレーシングカレンダー|JRAウェブサイト
新潟競馬場|コース紹介|JRAウェブサイト
トーセンジョーダン|競走馬データ‐netkeiba.com
ハープスター|競走馬データ‐netkeiba.com